研究課題
最終年度は、in situでの海綿骨における圧電信号の測定について検討することを目的として、数値シミュレーションを利用して以下の検討を行った。1)海綿骨の深い箇所での圧電信号の発生について検討した。2)海綿骨表面の皮質骨層が圧電信号に及ぼす影響について検討した。1)の検討より、海綿骨における圧電信号は二つの波に分けることができること、それらの波が骨梁配向によって変化することが示された。伝搬時間が早い方の波は海綿骨の浅い箇所で発生した圧電信号であること、遅い方の波は海綿骨の表面よりわずかに深い箇所で発生した圧電信号による影響を受けることが分かった。両方の波において、海綿骨の深い箇所で発生したと考えられる圧電信号は特定できなかった。これは、海綿骨における超音波減衰が大きいためであることが示された。2)の検討より、皮質骨層で発生した圧電信号が支配的となるため、海綿骨で発生した圧電信号の観測が困難になることが分かった。研究期間全体を通して得られた主な研究成果として、以下の三点を挙げることができる。1)超音波照射によって海綿骨で発生する圧電信号を定性的に解析することが可能な数値シミュレーションプログラムを作成することができた。2)作成したプログラムを利用して、海綿骨における圧電信号の特性について検討することができた。検討結果の一例として、海綿骨の間隙を満たす流体の影響や骨梁構造・配向による変化を示した。3)海綿骨のin situ測定を想定して、海綿骨の深い箇所で発生する圧電信号および表面に皮質骨層が存在する海綿骨における圧電信号の数値シミュレーションを行った。その結果は、最終年度の成果として前述した通りである。以上の研究成果より、in situでの海綿骨における圧電信号の測定は既存の方法では困難であり、新たな方法を考案・開発する必要があると結論付けた。
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