血管の内皮細胞は、血圧、ずり応力、伸展等の機械刺激を受容し、細胞自身や組織の機能維持に利用している。圧力並びに、圧力に応答した分子挙動、細胞動態の定量の困難さが生じていたため、内皮細胞における圧力に対する受容応答メカニズムの解明には未だ研究の余地があった。そこで本研究計画では、定量的な圧力負荷装置と準閉鎖系システムの構築、定量化された圧力環境下での細胞及び分子動態計測と機能発現に関わる分子や遺伝子発現量の解析、を実施し、内皮細胞の圧力に対する受容応答メカニズムの解明に迫る。本年度は、内皮細胞に対して、血圧レベルでの静水圧刺激の負荷が可能なシステムの構築に着手した。その結果、静水圧レベル(70 mmHg~130 mmHg)の圧力負荷下での内皮細胞の培養が可能なシステムの構築に成功した。この系は準閉鎖系にシステムであるため、インキュベーター内での長期培養が可能である。さらに、一般的な細胞培養用デッィシュの使用が可能なため、細胞動態のリアルタイム解析も可能である。今後本システムを用いて、細胞の圧力受容応答シグナル伝達機構の解明に迫る。
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