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2021 年度 実施状況報告書

拡散MRIによる生体組織の定量特徴推定のための生成型X-Q空間学習の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K12650
研究機関広島市立大学

研究代表者

増谷 佳孝  広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (20345193)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード拡散MRI / 生成型X-Q空間学習
研究実績の概要

学習データとしてのX-Q空間データを生成することを目的として、拡散MRIの実データにおける3×3の局所領域(X空間)において、使用するQ空間のサンプリング数の信号減衰比および信号値モデルのパラメタを取得して統計解析を行い、基底パターンに分解した。信号値モデルとしてNODDIモデル、統計解析の手法として主成分分析および非負値行列因子分解を用いた。抽出されたX-Q空間の基底パターンを観察するとともに、基底の線型結合で元のX-Q空間のデータを再構成した際の損失を定量評価し、両者の得失を調査したところ、両手法とも基底数15から20程度で元データをほぼ再現でき、基底パターンの差異が観察された。主成分分析による基底の方が視覚的解釈のしやすいパターンであった。
以上の結果よりの学習データ生成(ノイズ付加前)の方針として、(1)パラメタマップ(パラメタ毎)の局所パターンの生成→X-Q空間データの生成、(2)パラメタマップ(結合)の局所パターンの生成→X-Q空間データの生成の2つを検討している。前者では、パラメタ間の相関を考慮せず、より広いパラメタの分布をカバーでき、後者ではパラメタ間の相関の考慮し、現実的にありうる範囲のパラメタ分布を模擬する。また、パターンの解釈のしやすさからPCAの結果を採用する。なお、本結果は日本磁気共鳴医学会にて発表を行った。
また、生成型X-Q空間学習の新しい対象としてFree Water Imagingモデルの導入を検討し、前段階の調査として生成型Q空間学習での実行可能性を検証し、国際磁気共鳴医学会にて発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、実データを用いた拡散MRIデータおよびパラメタマップの分布の解析を行った。具体的には、拡散MRIの実データおよびNODDIモデルのパラメタマップにおける3×3の局所領域(X空間)において、使用するQ空間のサンプリング数の信号減衰比およびパラメタを取得して、主成分分析および非負値行列因子分解により統計解析を行った。抽出されたX-Q空間の基底パターンは、両手法とも基底数15から20程度で元データをほぼ再現でき、視覚的解釈のしやすさから主成分分析の基底パターンに優位性が認められた。
これら結果を踏まえ、学習データ生成の方針として2つのアプローチを試行するに至り、次年度の主要な研究対象とする。その2つは、パラメタマップ(パラメタ毎)の局所パターンの生成と、複数パラメタマップを結合した局所パターンの生成による方法である。また、新しい適用先として導入したFree Water ImagingモデルもX-Q空間データ生成の対象とすることとした。

今後の研究の推進方策

学習用のX-Q空間データを生成する方法が基底数も含めた主成分表現により確立できることが見込まれるため、今後は適用可能な新しい信号値モデルの探索も並行して行うこととする。
具体的な方策としては、(1)パラメタマップ(パラメタ毎)の局所パターンの生成を15から20程度の基底パターンにより行いX-Q空間データを生成する方法、および(2)パラメタマップ(結合)の局所パターンの生成を15から20程度の基底パターンにより行いX-Q空間データを生成する方法、の2つのアプローチを取る。その際に基底パターンを実データから取得する方法と、類似したパターンを人工的に生成する方法も合わせて検討する。
また、生成型Q空間学習と比較して計算量が10から100倍となることが試算されており、実際の推定時の計算の効率化も検討する予定である。
対象データとして、Human Connectome Projectなどの公開データベースの調査を始めており、共同研究者の施設より得られるデータも含めデータベース構築にも着手する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による各種学会のオンライン化に伴い、旅費等を使用しなかったため次年度使用額が生じた。なお、その費用の一部は消耗品等で使用した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Temporal Progression Patterns of Brain Atrophy in Corticobasal Syndrome and Progressive Supranuclear Palsy Revealed by Subtype and Stage Inference (SuStaIn)2022

    • 著者名/発表者名
      Saito Y, Kamagata K, Wijeratne PA, Andica C, Uchida W, Takabayashi K, Fujita S, Akashi T, Wada A, Shimoji K, Hori M, Masutani Y, Alexander DC and Aoki S
    • 雑誌名

      Front. Neurol.

      巻: 25 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fneur.2022.814768

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Advantages of Using Both Voxel- and Surface-based Morphometry in Cortical Morphology Analysis: A Review of Various Applications2022

    • 著者名/発表者名
      Goto M, Abe O, Hagiwara A, Fujita S, Kamagata K, Hori M, Aoki S, Osada T, Konishi S, Masutani Y, Sakamoto H, Sakano Y, Kyogoku S, Daida H
    • 雑誌名

      Magnetic Resonance in Medical Sciences

      巻: 1 ページ: 41-57

    • DOI

      10.2463/mrms.rev.2021-0096

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Recent Advances in Parameter Inference for Diffusion MRI Signal Models2022

    • 著者名/発表者名
      Masutani Y
    • 雑誌名

      Magnetic Resonance in Medical Sciences

      巻: 1 ページ: 132-147

    • DOI

      10.2463/mrms.rev.2021-0005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Deep learning-based diffusion MRI analysis software2022

    • 著者名/発表者名
      Masutani Y
    • 学会等名
      IEEE International Symposium on Biomedical Imaging (ISBI) 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] The Effect of DWI Denoising on Diffusional Kurtosis Inference by Least-Squares Fitting2021

    • 著者名/発表者名
      岩部ななせ, 佐々木 公, 増谷 佳孝
    • 学会等名
      第60回 日本生体医工学会
  • [学会発表] 拡散尖度推定における2つのアプローチの比較:生成型Q空間学習とDWIデノイジング2021

    • 著者名/発表者名
      佐々木 公, 岩部ななせ, 増谷 佳孝
    • 学会等名
      第49回 日本磁気共鳴医学会大会
  • [学会発表] 生成型X-Q空間学習のための拡散強調像および拡散MRIパラメタマップの局所パターン解析2021

    • 著者名/発表者名
      増谷 佳孝
    • 学会等名
      第49回 日本磁気共鳴医学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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