研究課題
学習データとしてのX-Q空間データを生成することを目的として、拡散MRIの実データにおける3×3の局所領域(X空間)において、使用するQ空間のサンプリング数の信号減衰比および信号値モデルのパラメタを取得して統計解析を行い、基底パターンに分解した。信号値モデルとしてNODDIモデル、統計解析の手法として主成分分析および非負値行列因子分解を用いた。抽出されたX-Q空間の基底パターンを観察するとともに、基底の線型結合で元のX-Q空間のデータを再構成した際の損失を定量評価し、両者の得失を調査したところ、両手法とも基底数15から20程度で元データをほぼ再現でき、基底パターンの差異が観察された。主成分分析による基底の方が視覚的解釈のしやすいパターンであった。以上の結果よりの学習データ生成(ノイズ付加前)の方針として、(1)パラメタマップ(パラメタ毎)の局所パターンの生成→X-Q空間データの生成、(2)パラメタマップ(結合)の局所パターンの生成→X-Q空間データの生成の2つを検討している。前者では、パラメタ間の相関を考慮せず、より広いパラメタの分布をカバーでき、後者ではパラメタ間の相関の考慮し、現実的にありうる範囲のパラメタ分布を模擬する。また、パターンの解釈のしやすさからPCAの結果を採用する。なお、本結果は日本磁気共鳴医学会にて発表を行った。また、生成型X-Q空間学習の新しい対象としてFree Water Imagingモデルの導入を検討し、前段階の調査として生成型Q空間学習での実行可能性を検証し、国際磁気共鳴医学会にて発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、実データを用いた拡散MRIデータおよびパラメタマップの分布の解析を行った。具体的には、拡散MRIの実データおよびNODDIモデルのパラメタマップにおける3×3の局所領域(X空間)において、使用するQ空間のサンプリング数の信号減衰比およびパラメタを取得して、主成分分析および非負値行列因子分解により統計解析を行った。抽出されたX-Q空間の基底パターンは、両手法とも基底数15から20程度で元データをほぼ再現でき、視覚的解釈のしやすさから主成分分析の基底パターンに優位性が認められた。これら結果を踏まえ、学習データ生成の方針として2つのアプローチを試行するに至り、次年度の主要な研究対象とする。その2つは、パラメタマップ(パラメタ毎)の局所パターンの生成と、複数パラメタマップを結合した局所パターンの生成による方法である。また、新しい適用先として導入したFree Water ImagingモデルもX-Q空間データ生成の対象とすることとした。
学習用のX-Q空間データを生成する方法が基底数も含めた主成分表現により確立できることが見込まれるため、今後は適用可能な新しい信号値モデルの探索も並行して行うこととする。具体的な方策としては、(1)パラメタマップ(パラメタ毎)の局所パターンの生成を15から20程度の基底パターンにより行いX-Q空間データを生成する方法、および(2)パラメタマップ(結合)の局所パターンの生成を15から20程度の基底パターンにより行いX-Q空間データを生成する方法、の2つのアプローチを取る。その際に基底パターンを実データから取得する方法と、類似したパターンを人工的に生成する方法も合わせて検討する。また、生成型Q空間学習と比較して計算量が10から100倍となることが試算されており、実際の推定時の計算の効率化も検討する予定である。対象データとして、Human Connectome Projectなどの公開データベースの調査を始めており、共同研究者の施設より得られるデータも含めデータベース構築にも着手する。
コロナ禍による各種学会のオンライン化に伴い、旅費等を使用しなかったため次年度使用額が生じた。なお、その費用の一部は消耗品等で使用した。
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Front. Neurol.
巻: 25 ページ: -
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