研究課題/領域番号 |
21K12657
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
弓場 充 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (50875367)
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研究分担者 |
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339691)
坪子 侑佑 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (40809399)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械学習 / 虚血性心疾患 / 心外膜下脂肪組織 |
研究実績の概要 |
本邦において、虚血性心疾患を含む心疾患は癌に次ぐ2番目の死亡原因であり、早期発見、早期治療介入が重要であるため、心疾患罹患予測に関する研究が盛んに行われており、人工知能技術の応用による予測精度の向上が期待されている。近年、新たな虚血性心疾患のリスク因子として、心外膜下脂肪組織(EAT)が注目されている。本研究では、糖尿病、高脂血症、高血圧などのリスク因子に加えて、EAT量を学習データとして用いることを着想し、高精度に虚血性心疾患を診断可能な機械学習モデルの構築を目的とする。社会医療法人北海道循環器病院において、2018年1月から2019年12月までの間に、冠動脈CT検査を実施した患者を対象とした(北海道循環器病院の倫理委員会承認)。狭窄および虚血があり経皮的冠動脈形成術(PCI)または冠動脈バイパス術(CABG)を行った患者を虚血群として144症例、中等度の狭窄を有するが虚血症状の無い患者を非虚血群として242症例組入れた。年齢、性別、身長、体重、BMI、体表面積、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、高血圧、脂質異常、糖尿病、喫煙習慣、飲酒習慣の患者基本情報に加えて、EAT量(cm3)を冠動脈CTから後ろ向きに取得し機械学習させた。機械学習モデルはMicrosoft社製のAzure Machine Learningを用いて構築した。結果として、虚血群および非虚血群におけるEAT量の平均値±標準偏差はそれぞれ133.1±62.7(cm3)、123.9±50.3(cm3)であり有意な差は示されなかった。しかし、EAT量を学習データとして用いない場合のAUCは0.731であったのに対し、EAT量を追加し、体格による影響を排除するため、EAT量を体表面積で除して学習させた場合のAUCは0.794と精度の向上が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題は臨床情報を用いて機械学習させることにより実現される。そのため、研究を遂行するにあたり、医療機関からの承諾や十分な臨床情報の確保が必要であるが、予定していたより早い時期に患者情報の収集を開始することができた。また、成果については第59回日本人工臓器学会大会で発表済みである。以上の観点から、当初の研究計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は学習に用いる症例数を1000例を目標に追加すること、および新たな特徴量として冠動脈CT検査で同時に取得可能な脾臓と肝臓のCT値を追加することによりさらなる診断精度の向上を目指す。
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