研究課題/領域番号 |
21K12660
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
梶山 愛 東北大学, 医工学研究科, 技術補佐員 (00872540)
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研究分担者 |
木下 知 東北大学, 大学病院, 特任助手 (00836538)
鈴木 智之 東北大学, 大学病院, 助教 (10837157)
太田 信 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20400418)
安西 眸 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (50736981)
片平 晋太郎 東北大学, 大学病院, 講師 (80870138)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 透析シャント / シャント狭窄 / 吻合角度 / wall shear stress / 内膜肥厚 / 埋込機器 |
研究実績の概要 |
本年度の研究目標は、動物実験によって開発デバイスの安全性評価を行うことである。評価は以下の手順で実施した。 1.デバイス製作:前年度まで開発デバイスの材料としていた樹脂(ポリウレタン)だと、デバイスの血管形成形能力(≒デバイス有効性)について問題があったため、まずは、ステント等既に埋込医療機器として採用されている材料である金属(NiTi)を用いてデバイスの再設計を行った。具体的には、動物実験実施医師(東北大学病院心臓血管外科)や透析専門医(弘前大学病院泌尿器科)の意見を取り入れながら、デバイス材料変更によるデザイン変更・デバイス硬度の調整、装着機構の改良を行った。また加工・製作はタマチ工業(株)にて行った。 2.シャント造設手術:東北大学医学部附属動物実験施設にて、同大学病院心臓血管外科とともに、ビーグル犬(メス)の両側大腿動静脈を使用してシャントを作製し、デバイスを装着した。その結果、デバイスに求められる有効性:シャント形状成形能力(=鈍角吻合および静脈カーブ形状を成形する)を保ちながら生体内での安全性を維持できることが明らかになった。具体的には、採用したデバイス構造・強度において、シャント血管や周囲組織(筋膜等)に対して概ね破損の危険性が無いということが明らかになった。 3.デバイス摘出手術:42日間デバイスを留置したまま観察を行い、観察期間終了後にデバイスの摘出手術を行った。デバイス摘出時に、デバイス装着部分のシャントおよび周辺組織(筋膜等)の目視確認を行った。その結果、留置後も同様に力学的安全性を保ちながら、デバイス留置による周辺組織の炎症も見られなかったため、生物学的安全性も確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度後期よりデバイスの材料変更(ポリウレタン→NiTi)を行ったため、それに伴うデバイスデザインやデバイス装着方法も変更になり、当初の計画よりも設計製作に時間がかかってしまったが、2022年度目標である「デバイスの力学的・生物学的安全性評価」は動物実験により予定通り実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
上記で示した通り、2022年度の研究目標である「デバイスの力学的・生物学的安全性評価」は概ね達成した。しかし、本年度最後に実施する予定であった、デバイス改良品の設計について少々遅延が生じているため、次年度が開始次第速やかに設計作業を始め、予定通り2023年度前期目標である「狭窄低減に対するデバイス有効性評価」を実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、次に記載する理由による研究の遅延によるものである。本研究において、動物実験におけるシャント手術準備(手技内容確認)に透析病院と連携する必要があるが、新型コロナウイルス流行により訪問の制限が設けられたり、医師との日程調整が困難となった。また同理由により動物実験実施の使用制限がかかった時期があり、動物実験を開始するのに時間を要してしまった。これらの理由により、本年度最終段階では、次年度に向けて改良品を設計をする予定であったが、作業が完了しなかった。したがって、設計費用の分を次年度使用額として合算し、次年度開始とともに設計を始める予定である。
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