研究課題
前年度までの研究においては、デバイス材料をポリウレタンからNiTiに変更し、デバイスデザインの再設計を行い、さらに動物実験によりデバイスを生体内に留置することで安全性評価を行った。本年度は前述の安全性評価をもとに、許認可用の非臨床試験パッケージのドラフトを作成した。具体的には、既存医療機器であり本開発デバイスの類似品であるステントの試験評価項目をもとに、本デバイスにおける試験項目の検討を行った。また、前述と同じ動物モデルにより、デバイスの有効性評価を行った。東北大学医学部附属動物実験施設にて、同大学病院心臓血管外科とともに、ビーグル犬(メス)の両側大腿動静脈を使用してシャントを作製し、シャントの外側に本開発デバイスを装着し、2ヶ月間の観察期間を設けた。その結果、観察期間中におけるエコー計測において、想定シャント形状をデバイスにより維持し、シャント開存が認められた。また、前年度までの安全性評価及び本年度の有効性評価、及び競合製品の臨床試験内容をもとに、本開発デバイスの臨床試験パッケージを検討した。これまで臨床においてシャント狭窄を低減可能な治療法・予防法は存在しなかったが、本研究開発により、我々が提案した新しいデバイスについて、基礎的な安全性評価・有効性評価を行うことでコンセプト実証を行い、新たな治療法の確立を示唆できた。また、次段階の開発として、本研究における実験結果をもとに、のちに許認可申請する際に必要となる臨床試験・非臨床試験の評価項目のドラフトを作成することができた。