研究課題/領域番号 |
21K12661
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
馮 忠剛 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10332545)
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研究分担者 |
小沢田 正 山形大学, 大学院理工学研究科, 客員教授 (10143083)
佐藤 大介 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (60536960)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心房・心室野 / サブタイプ心筋 / 拍動特徴 / ナノグラフェン機能材料 / 心室ECM基質 |
研究実績の概要 |
本年度は研究計画に従って、下記の研究内容を行い、実績を得た。 1.コラーゲンゲルの中に還元型酸化グラフェンを添加し、還元度の違いによってゲル基質の導電性を制御し、心房野組織構築の支持体を作成した。一方、コラーゲンゲルの中にブタ心室筋組織由来細胞外基質(vECM)を添加し、心室野組織構築の支持体と利用した。上記のハイドロゲルを電気刺激―動的ひずみを印加するバイオリアクタの培養チャンバーにカストしサブタイプ心筋細胞の培養を行った。アース電極付近に心房筋(cTNT+,MLC2v-)優位に細胞遊走、刺激(+)電極側付近に心室筋(MLC2v+)優位に細胞の遊走を蛍光染色で観察された。2.培養したヒトiPS細胞由来心筋細胞の細胞群形態の変化が拍動力の特徴に及ぼす影響を調べた。拍動力の測定に加え、CAE解析で拍動のシミュレーションも行った。その結果、2D均一化において拍動力が高値となる傾向が見られ、細胞凝集となる2Dクラスター化、3Dスフェロイドでは値が低値となった。しかし、心房性優位細胞クラスターにおける自発拍動の非同期現象から心房細動異所性始点を誘発する可能性を示唆した。3.培養した心筋細胞の拍動波形から測定梁の横強制振動理論によって拍動力の波形を算出し、心房・心室野への分化と成熟を評価した。vECMでの培養は最大拍動力が増加し、拍動特徴は、Controlに比べてvECM含有ゲルが心房筋波形に近づいており、遺伝子解析では各サブタイプ心筋細胞の発現を促進する結果となった。しかし、vECMによる心筋細胞全体の発現促進と他種由来Collagenを組み合わせることで目的のサブタイプ心筋細胞への分化促進の可能性も示唆された。創薬スクリーニングへの応用展開については、コロナの影響により、試薬生産・輸送の遅れが生じたことや試薬価額の高騰により研究費不足になったなどの原因で、実施しなかった。
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