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2022 年度 実施状況報告書

妊娠マウスの深部体温変動を再現して体外受精卵の発育促進を目指す

研究課題

研究課題/領域番号 21K12672
研究機関日本大学

研究代表者

村山 嘉延  日本大学, 工学部, 准教授 (80339267)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード深部体温 / 基礎体温 / 月経周期 / 妊娠 / 受精卵培養
研究実績の概要

本研究課題では、受精後早期のマウス深部体温変動の特徴パターンを抽出し、深部体温変動を再現する培養器を開発してマウス受精卵を培養することにより、受精卵の発育に最も適した培養温度変化のパターンを明らかにすることを最終目標としている。令和4年度には、まず受精後早期(0日から5日)の妊娠マウスの深部体温変動に見られる不規則変動成分の特徴量の変化について調べた。超小型温度ロガーを留置して深部体温変動を1分間隔で測定した結果、妊娠が確認できた全ての個体で不規則変動成分のばらつきが減少し(-0.07±0.04℃、n=8)、サンプルエントロピーが上昇した(+0.353)。一方、非妊娠群ではばらつきの変化に有意差が得られないものの、全ての個体でサンプルエントロピーが減少した。加えて、本研究の手法を発展させて就寝時腹部皮膚体温の時系列データから月経周期の体温2相性を検出する試みを行い、以下の結果を得た。まず、45人の健康な女性から得られた202周期を対象として、就寝時腹部皮膚体温と舌下温とを用いた体温移行日の検出精度について比較した。検出感度の割合は、舌下温と腹部皮膚体温でそれぞれ85.9%、80.1%、LH陽性日からのずれは、舌下温で0.3±2.5日、腹部皮膚体温で0.4±2.5日であり、両者に有意な差は認められなかった。同一周期に対応する両者の差には強い相関(決定係数0.703)が得られ、腹部皮膚温度を使用して舌下温度と同等の精度で排卵日が推定できる可能性が示された。次に、7人の健康な女性から得られた月経・卵胞期、排卵期、黄体期それぞれ1667日、1035日、1690日において、就寝時腹部皮膚体温にみられる10分ごとの累積確率分布を評価したところ、月経・卵胞期に最も高い減衰係数8.57を示し、排卵期7.80、黄体期7.24と進むにつれて値が低くなることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね計画通り進んでいる。受精後早期のマウス母胎温に見られる深部体温変動の特徴量が抽出でき、加えて深部体温変動の特徴パターンに対して±0.01℃以内に追従できる培養器を開発し、同時に顕微鏡タイムラプス観察を可能とした。開発した培養器を用いて令和4年度中に受精卵培養を開始する予定であったが、コントロールとなる培養器の修理に時間がかかり、令和5年度から開始する予定である。

今後の研究の推進方策

令和5年度には、得られた高時間分解能の深部体温時系列データから、24時間を基本周期とする概日周期成分とその高次周波数成分に分解し、さらに不規則変動成分を示す複雑性成分に分けて特徴パターンを抽出する。開発した、深部体温変動の特徴パターンに対して±0.01℃以内に追従できる培養器を用いて、妊娠マウスから採取した受精直後のPN期受精卵を、先に開発した「深部体温変動を模倣する培養環境」に供し、卵割速度、胚盤胞到達度、内部細胞塊細胞数を調べて胚の発育率を調べる。深部体温変動は24時間を基本周期とする概日周期成分、および不規則変動成分(ゆらぎ成分)とに分けて培養器で再現し、それぞれを比較検討することにより、受精卵の発育に最も適した培養温度変化のパターンを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度に開始する予定であった受精卵培養を開始できず、培養液等の購入を一部次年度に持ち越した。令和5年度には開発した培養器を用いて受精卵培養を開始する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Determination of biphasic menstrual cycle based on the fluctuation of abdominal skin temperature during sleep2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshinobu Murayama, Aiko Uemura, Masumi Kitazawa, Jun Toyotani, Asako Taniuchi and Tatsuo Togawa
    • 雑誌名

      Advanced Biomedical Engineering

      巻: 12 ページ: 28-36

    • DOI

      10.14326/abe.12.28

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] The accuracy of abdominal skin temperature in detecting ovulation compared to basal body temperature.2022

    • 著者名/発表者名
      Yoshinobu Murayama, Masumi Kitazawa, Hiraku Sato and Aiko Uemura
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied IT Healthcare

      巻: 17 ページ: 6-9

    • DOI

      10.11204/ithc.17.s2_6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 就寝時腹部皮膚体温を用いた排卵日予測2022

    • 著者名/発表者名
      村山嘉延、北沢眞澄、佐藤光、植村あい子
    • 学会等名
      ITヘルスケア学会 第15回年次大会
  • [学会発表] 交尾により雌マウス深部体温に生じる不規則変動成分の変化2022

    • 著者名/発表者名
      阿部友紀、佐藤光、村山嘉延
    • 学会等名
      日本生体医工学シンポジウム2022
  • [学会発表] Determination of biphasic menstrual cycle based on the fluctuation of abdominal skin temperature during sleep.2022

    • 著者名/発表者名
      村山嘉延、植村あい子、北沢眞澄、豊谷純、谷内麻子、戸川達男
    • 学会等名
      日本生体医工学シンポジウム2022

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公開日: 2023-12-25  

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