令和5年度の研究は、研究計画に沿って進捗し、下記の成果を得た。 1) 成体マウスZigzag毛の周期的形態形成タイミングの特定:本研究項目に関しては、一昨年度までの研究により、マウス成体Zigzag毛の変曲点(形態形成の周期的切り替え点)は毛包再生誘導後9,12,15日目に形成されることが明らかとなり、本研究項目の目標を達成した。 2) 形態形成過程の細胞および分子メカニズムの解明:昨年度までに毛幹の形成領域である毛球部において、変曲点形成期および非形成期における遺伝子発現プロファイル比較により、変曲点形成の直前で発現量の増加する2遺伝子を明らかにし、loss-of-function解析から、これらの遺伝子が変曲点形成に関与している可能性が示唆された。本年度はこれらの遺伝子についてgain-of-function機能解析を実施した結果、両遺伝子共に変曲点の形成周期に異常が認められた。これらの結果から、変曲点形成の直前で発現量の増加する2遺伝子が形態形成過程において重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 3) 生体外における器官形態形成制御の実証:一昨年度までの研究により、生体外において再生毛包原基から成熟した毛包の形成が可能となったが、Zigzag毛の明確な形成は認められなかった。この為、本年度は培養方法の最適化を試みたが依然としてZigzag毛の明確な形成は認められず、生体外において器官形態制御が可能であるか解析を行うには至らなかった。
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