研究課題
本研究課題は、核酸医薬密生型キャリアフリーDDS製剤の眼科製剤への応用を可能にする基盤技術の確立を目的としている。そのため、核酸医薬からなる密生層の内核を刺激応答型の自己崩壊性高分子や金ナノ粒子をモデルとした構造設計を推進してきた。最終年度は、以下の2課題(aとb)を実施した。(a)還元環境で自己崩壊を誘起するDNA密生型ナノ構造体の精密設計:今年度は、細胞内における選択的な核酸放出を目指し、ジスルフィド誘導体を末端に有する自己崩壊性ポリ(カルバメート)-DNAコンジュゲートからなる還元応答性DNA密生型ナノ構造体の自己崩壊挙動を動的光散乱(DLS)により評価した。ナノ構造体にDTTを加え、50℃で2週間静置した。DTT処理前に観察されていた110 nm程度の構造体に由来するヒストグラムは観察されなかった。一方、流体力学径が10 nm程度の会合体をDLS測定により観察した。また、同時に大きな凝集体も含まれていることがわかった。DTT処理を室温(20-25℃)で行った場合は、2週間後のDLSのヒストグラムは自己組織化直後と同様な粒径(約110 nm)を示した。以上より、新規設計により、ナノ構造体は50℃に静置することで、PC誘導体の部分的な自己崩壊反応に伴ったDNAリリースの進行が示唆された。(b)ガラクトース突出型DNA修飾金ナノ粒子を用いるがん関連酵素の目視活性評価:ガラクトース誘導体を表層部に導入した二重鎖DNA担持金ナノ粒子を作製した。得られた糖突出型ナノ粒子が著しく高いコロイド分散性を示すことを見出した。これを利用して腫瘍マーカーとして知られるβ-ガラクトシダーゼの酵素活性の目視アッセイを試みたところ、β-グルクロニダーゼとは異なる色調変化を示した。β-ガラクトシダーゼの特異的な酵素活性の目視検出を実証した。
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