研究課題/領域番号 |
21K12698
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
孫田 惠一 北海道大学, 大学病院, 副放射線技師長 (20636419)
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研究分担者 |
山品 博子 福島県立医科大学, 保健科学部, 講師 (00726242)
納谷 昌直 北海道大学, 大学病院, 講師 (20455637) [辞退]
平田 健司 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431365)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PET / 半導体 / 心臓 / ファントム |
研究実績の概要 |
本研究では、デジタル半導体PETに対応する心臓サルコイドーシスおよび冠動脈プラークによる炎症病変を含むヒト心臓を再現したファントムを開発することである。 令和3年度はファントムの完成形を想定した上で数多くの予備実験を遂行した。年度初めに、研究分担者および研究協力者の方々とともにプロジェクト内容の確認を行い、そして製作工程に関する検討を行った。当該年度は、製作するファントムにおいて最も重要な核となる冠動脈部分をいかに再現するかに注力することとなった。冠動脈は直径2-4ミリと細い上に、心拍による心臓そのものによる動きに耐えうるような素材である必要がある。さらに、成形には心臓モデルデータより3Dプリンタを利用して行うため、取り回しが容易であることも素材選定には重要な要素であることがわかった。本報告で具体的な素材名は列挙しないが、様々な素材を用いて多くの予備実験を重ねることで最適な素材を見出すことができた。続いて、冠動脈が貼り付く部分となる心筋および心内腔部分の製作に関して検討を行った。心拍による動きはこの部分に何らかの工夫をすることで再現することとなるが、風船のように内部へ水圧を加えることで動きを再現する方法を採用することとした。従って、心筋部分はこの水圧に耐えうる素材であることが重要であるため、冠動脈部分と同様にいくつかの素材で予備実験を行うことで最適なものを見出すことができた。水圧のコントロールに関しては、様々な心拍数およびリズムを再現できることが重要である。研究計画時には水ポンプとそれをコントロールするためのプログラマブルなPCを組み合わせることで実現することを想定していたが、開発には時間を要することが判明したため研究の遅れが懸念されたため、同性能既製品を用いることを考えている。現在はその機種選定を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、令和3, 4年度は心臓動態ファントムの開発を行う予定であった。作製するファントムの核となる冠動脈部分の材質選定や予備実験は令和3年度中に既に終了しており、概ね順調に進んでいるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、心臓部分の撮影で影響を与える呼吸による動きを如何に再現するか検討を行う予定である。呼吸は制御用PCとスライダクランク機構を組み合わせることで実現可能と考えているが、開発期間を考慮し、同等の性能を有する装置を用いることも検討する可能性はある。以上本検討が終了することで、ファントムを構成するすべての構造が出揃うことになるため、以降はそれらすべてを組み合わせ、最終形態となるファントムを完成させることが目標となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた心拍を再現する装置の選定に時間を要したため、本装置の購入分は翌年度の助成金と合算して使用する予定です。また、コロナウイルス感染拡大の影響で情報収集のための学会等への参加が叶わず、旅費としての計上が皆無となったため。
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