研究課題/領域番号 |
21K12705
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
國領 大介 神戸大学, システム情報学研究科, 助教 (20508543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | MRI / 変位・変形量推定 |
研究実績の概要 |
磁気共鳴画像化法(Magnetic Resonance Imaging, MRI)により取得した腹腔臓器のMR計測データより構築した変位・変形を捉えるための数理モデルと精度・計算速度を考慮した数理最適化・シミュレーション技術と融合した腹腔臓器の4次元変位・変形を推定・予測手法の開発,ならびに非接触型温熱治療の加温位置推定・追尾の実現に向け,2021年度に関しては,複数の呼吸位相において取得したMRデータに対し,経時的な変位・変形を捉えるための手法の開発を開始した.肝臓ならびに肺の経時的変化を捉えるために,肝臓ならびに肺を含むMR画像において,各臓器に存在する血管に着目し,その血管を自動で追尾するための手法を開発した.取得したMR画像に対し,コントラスト強調,ノイズ除去,エッジ強調などの画像処理手法を適用し各臓器に含まれる血管像を強調した上で,領域拡張法を用いて注目した血管を抽出しその位置情報を取得し,この血管位置情報を基に連続して取得したMR画像においても同一血管を自動で追尾できるように工夫した.開発した手法では複数のMR画像に含まれる血管の位置情報を初期情報として活用することで,誤追尾を防ぎつつ,半自動での血管位置自動追尾を実現した.開発した手法を取得したMR画像に適用したところ,温熱治療の加温領域よりも小さい誤差で追尾が可能であった.また得られた血管位置情報より,呼吸に伴う肝臓内部及び周囲の動態解析も実施することができた. また先に得られた結果に対し,変位・変形を捉えるための数理モデルの検討ならびに精度・計算時間を考慮した変位・変形予測手法の検討を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はMR画像から腹腔臓器の変位・変形量を捉えるため,臓器内に含まれる血管位置に着目し,その位置情報を正確かつ極力自動で追尾することを可能にするための手法の開発に取り組むとともに,得られた結果より,肝臓および周囲の動態解析も実施できるなど,順調に進んでいると考えている.また開発する中での課題も確認できており,その解決も含めて翌年度における研究開発を実施する.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施した項目についてさらに検討を進めるとともに,実験環境を整え,異なる撮像法や3次元撮像によるMR画像を取得し,3次元方向+時間的に変化する臓器の動態を高精度で捉えるための手法の開発に取り組む.また改良した数理モデルや予測手法を使用し,様々な呼吸位相における腹腔臓器の状態や移動量を推定・予測するシミュレーション環境を構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に関しては新型コロナウイルス感染症の影響のため実験や研究打ち合わせのための費用がかからなかったため,次年度使用額が発生した. 2022年度に関しては,引き続き開発環境を整えるための機器・ソフトウェアの購入を行うとともに,実験を実施するための費用ならびに研究打ち合わせ,研究発表を行うための旅費などに使用する予定である.
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