研究課題/領域番号 |
21K12706
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
渡部 有紀奈 徳島大学, 病院, 臨床検査技師 (90747817)
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研究分担者 |
古徳 純一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (70450195)
楠瀬 賢也 琉球大学, 病院, 教授 (70507649)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Deep learninng / 胸部X線画像 / 肺高血圧病態分類 / 機械学習 / 全自動解析システム |
研究実績の概要 |
肺高血圧(PH)の診断と病態分類を非侵襲的に行うため、心エコー図検査データを基にAIモデルを開発し、PHの有無及び病因分類(pre-capillary PH, post-capillary PH)の診断を可能にすることを目的とした単施設研究を実施した。さらに、独立した検証コホートを用いて学習モデルの有用性を検証し、その精度を評価した。このモデルの分類精度について、AIとエキスパートの診断精度を比較検討した結果、エキスパートと同等またはそれ以上の精度で3群を正確に分類することが可能であった。これらの成果は、AIモデルの使用によってPHの早期診断や適切な治療選択のサポートに役立つことが期待されている。この研究結果は、令和5年度に国際学会(Euro echo 2023)で報告された。 さらに、この研究の成果は『Heart』誌に論文として投稿され、採択された。
また、ベンチャー企業が開発した全自動解析システムを用いた検査時間の効率化について検討し、AIによる時間短縮が可能であることを『Journal of Echocardiography』誌に論文として投稿し、採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
心不全退院患者を対象に、肺動脈楔入圧(PAWP)および肺動脈圧(mPAP)の上昇を予測するXp-AIモデルを使用し、心不全確率の高い群で退院後の心不全再入院率が有意に高いことが明らかとなった。これらをまとめた内容は昨年度論文化できた。 また、心エコー図検査を用いた肺高血圧(PH)の有無および病因分類のための診断モデルの作成および検証に関する研究もR5年度に論文化された。さらに、ベンチャー企業が開発したAIを活用する全自動解析システムを用いたエコー検査の効率化に関する研究も、R5年度に論文として発表できた。 以上のことより、当初の計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2点間のXpとBNPの推移から、日常臨床に合わせたユースAIモデルを作成して、外来患者を対象として心不全確率の推移をみた検討が実施できればと考えている。心不全モニタリング、早期の心不全ケアに役立てるのではと考えている。 また、肺高血圧のなかで最も原因として可能性が高いのが左心不全による肺高血圧(Ⅱ群)であるが、それにはいくつかのphenotypeが存在している。それらを予測する教師なしモデルをカルテ情報から作成できないかと考えている。 さらに、全自動解析システムを用いたエコー検査の効率化についても、さらなる前向き調査を実施して、有効性について検討を重ねていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究に必要な研究費が予定より少額で賄えたため、次年度使用額が生じた。 次年度は学会報告を多く予定しているため旅費が多く必要になると予想されるため、次年度研究費と合わせて使用する計画である。
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