研究課題/領域番号 |
21K12707
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
内山 良一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (50325172)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Radionics / Radiogenomics / Medical AI |
研究実績の概要 |
非小細胞肺がんの再発リスクの推定の研究を行った.再発リスクの予測では,右側打ち切りと左側打ち切り問題があるため,パターン認識アプローチは不向きであることを明らかにし,生存時間分析を用いたアプローチを提案した.また,生存時間分析を適用する際の問題として比例ハザード性があることを指摘し,がん種によって比例ハザード性を満たさないRadiomics特徴量の種類や個数が異なることを明らかにした.また,画像から非小細胞肺がんのEGFR遺伝子変異を推定する研究も行った.遺伝子発現パターンの違いが病変の表現型に及ぼす影響を検討し,EGFR阻害剤が奏効する症例を画像検査で選択できる可能性を示した. 画像検査を用いて膠芽腫の1p/19q共欠失を推定する問題では,AIのユーザがデータを理解して問題を解決するユーザ主導型の意思決定支援ツールの要素技術の開発を行った.データ分布を可視化して過去の類似症例の表示に応用できる多次元尺度構成法,患者にも理解できるように診断確率を表示するロジスティック回帰,AIが何故そのように判断をしたのかの根拠が可視化できるノモグラムについて検討し研究成果を報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画よりも発展した研究成果を得ており,速いペースで研究が進捗している.また,関連研究として,乳房MR画像から術前薬物療法で病理学的完全奏効となる患者を予測する手法を開発するなど,研究の新たな展開に関する成果も得ている.これらの研究に関する報告で,国内の関連学会から6件の受賞を得るなど,本研究に関する注目度は高いと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画よりも速く研究が進んでいることから,研究計画よりもさらに一歩先に進めた研究や当該分野を体系づける関連研究も含めて研究を推進する予定である.また,次年度の計画である,個人の遺伝型による脳萎縮パターンの違いを考慮した次世代型のコンピュータ支援診断に関する研究を推進する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために,参加を予定していた学会がリモートでの開催となり旅費が余ったが,論文投稿料の高い海外雑誌に論文を投稿するなど,よりインパクトの高い研究成果が得られるように工夫をしている.次年度の計画に予算を上乗せする予定である.また,研究室のPCを新しいものに更新することによって研究の速度を上げる環境を整備する予定である.
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