研究課題/領域番号 |
21K12712
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
高松 利寛 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 助教 (10734949)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 内視鏡 / 3Dプリンター / コロンモデル / 自動挿入 |
研究実績の概要 |
本研究は大腸を模擬したモデルと,動物の大腸に電動駆動で容易に挿入可能となる手法の創出を目標としている。当該前年度には1)電動内視鏡挿入デバイスの開発,2)デバイスコントローラーの開発を行ってきた。そのため,当該年度では,開発デバイスを用いて,3)大腸モデルへの挿入検討,4)安全性確保のためのフィードバック開発の検討を行った。 3)大腸モデルへの挿入検討:開発した外筒・内筒が独立して電動で湾曲駆動するダブルバルーン内視鏡で大腸モデルを挿入可能か検討するために,Case1という最も簡単な大腸モデルの形状を対象に挿入検討を行った。その結果,外筒および内筒湾曲部の湾曲,外筒および内筒バルーンの膨張・収縮,内筒の押引きの動作を片手でコントローラー操作し,もう片方の手で外筒の押込むことにより一人で盲腸までの挿入に成功した。 4)安全性確保のためのフィードバック:大腸の腸壁は胃と比べて薄いため,過度に力が加わると穿孔の危険性がある。S状結腸や上行結腸などの大腸の部位,または個人差によって内腔の直径が異なる。そのため,バルーンを安全かつ確実に腸壁に固定するためには,膨らむ直径はその都度制御しなければならない。そこで,大腸モデル内にデバイスを挿入して,バルーンの内圧を計測して,バルーンが腸管を固定する圧力に達する値を閾値として停止する機構を搭載した。その結果,腸管に固定可能な大きさの膨張で,送気が停止することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では,予定していた大腸モデルへの挿入検討,安全性確保のためのフィードバック開発の検討を行うことができ,次年度の計画にある動物実験の検討,AIによる挿入方向検知の検討が可能な状況にあるため,順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画に関して,5) 動物に対する挿入実験,及び6) 機械学習による挿入方向の検知を予定している。 5) 動物に対する挿入実験:ブタやイヌは腸の特徴が人間に近いため,内視鏡関連の研究によく用いられる。本研究では,実際の生体で安全に挿入可能か検証するため,動物に対して開発したデバイスの挿入実験を行う。 6) 機械学習による挿入方向の検知:本研究で開発するデバイスは,挿入の全ての駆動やフィードバックが電気的に制御可能になるため,機械学習により挿入方向が判断できれば,操作信号と連動させて操縦者の判断なしに自動挿入が可能となる。そのため,コロンモデルを用いて挿入方向の教師データを作成し,その情報からカメラ先端部が向く方向を判断させ,自動挿入可能かどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
提出した論文のリバイスの査読結果を待っている状態であり,投稿料支払いのための予算が次年度に繰り越されたため。
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