研究課題/領域番号 |
21K12716
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
篠原 範充 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (00402222)
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研究分担者 |
小口 真一 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 研究員 (40899142)
西原 利幸 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 研究員 (50899143)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超高感度半導体イメージセンサ / マンモグラフィ / フォトンカウント |
研究実績の概要 |
マンモグラフィ上の病変の特徴は,微小で低コントラストであるため医師の読影で見落とされる可能性がある.また,乳房は被曝を極力抑える必要のある臓器の1つである.本研究では,マンモグラフィに使用される検出器の感度と解像度を大幅に向上させた新たな検出器の開発を試み,高画質取得,低被曝による医療応用への基礎的データの取得を行った.【方法】X線管は,松定プレシジョン社製XRC60-60-03を用いた.イメージセンサは,最先端の低ノイズ回路技術と高感度光検出専用に設計された大型フォトダイオードを組み合わせた超高感度イメージャ( CPD:CMOS Photon Detector )を用いた.CPDと高精細シンチレータ(浜松フォトニクス製 J6675)を用いて間接型のフォトンカウント撮像を実施し,1光子の発光輝点を画像化した.数十万枚の取得フレームより多数輝点の重心をプロットすることでフォトンカウント画像を生成した.同様にX線管の出力電流とイメージセンサのフレームレートを調整して数百枚のフレームより積分画像を作成した.矩形波チャート(Kyokko type 1) ,CDMAMファントムおよびJRS推奨ファントム(ステップファントム)を撮像し,フォトンカウント画像と積分画像を比較した.AGDをマンモグラフィの臨床に近い条件で実施し比較を行った.矩形波チャートの10 LP/mmの可視性は,フォトンカウント画像の方が良かった.CDMAMファントムは,直径0.2mm,0.71μm厚など複数の撮影を行ったが,金ディスクの可視性はポワソンノイズの影響により両画像間に明確な優劣は認められなかった.JRS推奨ファントムでは,密度-信号の特性を得る事ができ,物質弁別等の可能性が示唆された.本研究は,初期的検討であり,撮影条件,イメージセンサの画角など医療応用に向けて更なる実験が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度には,出力および焦点をCPDの特性に合わせたX線管球を導入して正確なCPDの撮像特性を把握し、医療応用に向けたCPD改良の指針とした.CPDテストチップとシンチレータを組み合わせたX線フォトンカウント受光素子を複数作成し、感度、エネルギー特性などの物理特性の計測を行った.同時に検出したX線を画像化する最適なプロセスを検討した.2022年度では,2021年度の基礎実験を基に最適化されたCPDと画像化プロセスを用いてCDMAM(Contrast-detail Mammography )ファントムやJRS推奨ファントム(ステップファントム)の撮像を行った.さらにフォトンカウント画像と従来型積分画像との系統立てた画質比較を実施するため、得られた特性を基にMTF(Modulation transfer function)や入出力特性について評価した.これらをフィードバックさせながら受光素子の構造、物理特性と画像変換プロセスを最適化した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,同程度の画質による被曝低減の可能性を検証する。また、フォトンカウント画像と従来型積分画像により、従来の診断画像に近い画像と共にフォトン粒子をカウントすることでの物質弁別、物性評価などX線画像に新たな価値を見出すことが出来るデータの算出を行う. さらに、CPDは小型であるため画角の大型化させるための検討を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
装置費用が一部値引きされたため
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