初年度(2021年度)は、1個のドップラーセンサを使い、新生児と成人の呼吸・心拍を測定できることを確認した。呼吸・心拍算出方法は、DCオフセット補正、ADCM復調、テンプレートマッチング法を開発し、精度向上を確認した。センサの位置を様々に変化し、正面、背部のいずれにおいても、照射距離40cm以下の時、被験者が安静で、外乱がない場合は、常時RMSE 10%以下の測定が可能であることを確認した。 2年目(2022年度)は、3個のドップラーセンサをベッド背面に配置し、寝ている新生児、成人の呼吸・心拍測定を実施した。3個のセンサの測定データの測定品質を決定する指標として、測定信号と、テンプレート波形からの残差の電力費(STRR: Signal to Template Residual Ratio)を考案し、STRRに基づく選択ダイバーシチ、合成ダイバーシチ測定法を提案した。3か所(肩部、背中中央、腰部)の測定データの品質を評価し、ダイバーシチ受信することで精度が向上することを確認した。また、照射距離を10cm以下とし、外乱の影響が除去できることを確認した。24人の成人実験の結果、RRIの瞬時変動を測定誤差5%以下で測定できることを確認した。新生児は、心拍が弱く、体動が大きいこと、身長が小さく3このセンサの測定信号の分離が充分でないことから、瞬時RRIの測定は難しいが、10秒間平均RRIは測定誤差5%以下で測定できることを確認した。 3年目(2023年度)は、5個のセンサを使い、被験者がベッド内で左右に移動しても安定な測定を可能とし、測定法を確立し、名古屋大学医学部附属病院及び豊田地域医療センターにおいて、新生児と成人の長期臨床実験を開始した。センサの改良、リファレンス信号取得法(ホルター心電計)の確立等に時間を要し、現在、最終実験の準備中である。
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