本研究では認知と行動の関連解明に基づく内視鏡操作支援システムの実現を目指す。内視鏡を用いた診断・治療では経験不足の医師による合併症発生や病変見落としが発生する。医師の内視鏡操作をコンピュータで支援し自動化することで、個人の経験に依存しない治療が可能となる。医師が内視鏡操作を行う上で、視覚等による状況把握と判断を連続的に行い、それに基づいて操作を実行する。つまり状況の「認知」と「行動」が密接に連携して行われる。このような「認知」と「行動」の連携をデータドリブンで解析し、行動選択の仕組みを解明することを目指した。この目標を達成するため、医師の認知と行動の関係を計測し、深層学習等でのデータドリブンな推定モデル化を通して、認知と行動の連携による推定をコンピュータ上に実現した(認知・行動連携モデル)。モデルを組み込んだ内視鏡操作支援システムを開発し、内視鏡画像等への認知支援情報提示、ロボットによる行動介入を通した支援を実現した。 上記の研究を達成するために、(1) 医師の認知と行動を計測する枠組みの実現、(2) 認知と行動の連携をコンピュータ上でモデル化し、(3) モデルを用いた認知と行動支援情報の提示及び (4) ロボットによる行動介入を通した支援を行う内視鏡操作支援システムの開発を行った。 本年度は、内視鏡操作支援システムの開発を行った。これまで開発した認知と行動の連携モデルを使用し、推定結果に基づいて内視鏡の動きを制御する方法の開発を行った。内視鏡の挿抜や先端方向制御の仕組み構築を行った。
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