本研究課題の対象である骨格筋は,CT,MRIなどの画像において,多くの断層上で描出される.そこで,コンピュータを用いた画像認識により,骨格筋の自動計測が期待される.特に,これまでには,モデルベースの骨格筋部位別認識や深層学習を用いた骨格筋の部位別認識に取り組んできたが,双方に利点と課題が明らかとなっている.そして,骨格筋は多数の断層画像に描出されることや多くの部位に分けられるため,アノテーション作業コストは高く,深層学習の適用による筋認識の対象は限られていた.そのため,本研究では,深層学習とモデル併用により,筋線維のミクロ・マクロ構造を考慮した表層部の骨格筋認識法の提案を目的とした. 研究の最終年である本年度は,前年度までに明らかとなった脊柱起立筋の部位別骨格筋認識における学習効果について,表層部の骨格筋のうちアノテーションが実現できた骨格筋部位である,脊柱起立筋,僧帽筋,腹斜筋,棘上筋およびL3断面における腰方形筋,大腰筋,腹斜筋,腹直筋においてその効果を検証し論文化を実現した. また,この内容について,脊柱起立筋は脊柱起立筋群として扱っていたため,脊柱起立筋群の区分化による部位別骨格筋の認識に与える影響について腸腰筋領域において検証し,区分化の有効性および必要性の初期検討を行った.加えて,骨格筋の大域的な認識について,深部と表層筋を区別する体腔に着目した大域構造認識として,皮膚,皮下脂肪,表層筋および骨の認識の実現と,認識された表層筋について部位別認識への学習効果について胸鎖乳突筋領域において確認を行った.
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