研究課題/領域番号 |
21K12735
|
研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
金 大永 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (60461860)
|
研究分担者 |
小林 英津子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20345268)
李 鍾昊 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (40425682)
福島 亮治 帝京大学, 医学部, 教授 (50228897)
月原 弘之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50431862)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 外科支援デバイス / 鉗子操作誘導 / 把持力計測 / 干渉装置 / ネガティブフィードバック |
研究実績の概要 |
本研究は、鉗子操作時に得られる情報から、危険な操作を防ぐように術者を誘導するためのトロッカ型装置の開発を目的としている。直径15mmバルーンを使用し、3自由度のデバイスを設計・製作を行った。1次・2次製作を経て、直径70mm、高さ61mm、重さ58.6gfのトロッカ型デバイスを製作し、評価実験を行った。 手術器具の位置姿勢情報取得は、ツールと臓器の相互作用を定量的に評価するために重要である。そこで我々は、深層学習に基づき、単眼画像からの鉗子の3Dポーズ情報推定する手法を提案した。今年度は、まず、コンピュータグラフィックス(CG)による鉗子データでの学習を行い、シミュレーション画像上での精度評価を行った。その結果、平均の位置誤差2mm、角度誤差4°と高精度な位置検出が可能であった。また、シミュレーションと現実のギャップを埋め、リアルな腹腔鏡画像での鉗子位置姿勢推定の精度向上を試みた。具体的には、生成的敵対的ネットワーク(pix2pix)を使用し、シミュレーション画像と実際の画像の両方をセマンティック画像に変換し、リアルな腹腔鏡画像の位置姿勢推定を行う手法を検討した。結果、リアルな画像において、セマンティック画像の十分な取得性能が得られなかった。 評価として、「システム操作の熟練度やスキルアップを定量的に評価する」実験系と評価方法を確立した。具体的には、鉗子の位置推定と血管ナビゲーションのデータに基づいて血管や臓器の傷つけない鉗子先端の経路を、等速度で誘導する指標追跡課題を行う実験系を導入した。そして、導入した実験系の有効性を確かめるために、利き手と非利き手の間の熟練度の差を、脳の代表的な運動学習理論であるフィードバック誤差学習理論に基づいて定量的に比較した結果、利き手の熟練度が非利き手の熟練度より1.2倍優れていることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、研究時間の確保や研究者同士の人的交流に支障が出ている。各自行う研究内容に関しては、概ね、問題ないと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
鉗子操作誘導機構に関しては、大きさと駆動力の問題を解決すべく、ワイヤ駆動に変更し、術野の邪魔にならない大きさで、術者の操作を妨げるに十分な駆動力を実現する。また、もう一つの大事な機構である鉗子軸方向の進行量計測に関しても速度を上げる必要があり、先行研究にて開発した鉗子装着式計測デバイスと統合する予定である。 手術器具の位置姿勢情報取得に関しては、一般病院でも使用可能にするために、シミュレーション画像の改善を行って、リアル画像においての高精度位置姿勢検出を目指す。 数値解析・評価に関しては、指標追跡課題を行う実験に対する症例数を増やして、製作したデバイスと、評価用デバイスの統合を行いたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額発生の大部分は、画像表示システムに必要な部品などが生産中止になり、2022年度に改めて注文をすることとなったためである。また、合同で行う研究の一部を次年度(R4年度)に行うことになった。 学会発表に使用する予定であった予算は、発表予定としていた海外学会が全て対面に代わり、参加出来なくなったために次年度使用額が生じた。
|