研究課題/領域番号 |
21K12737
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 翔 日本大学, 医学部, 助教 (50813581)
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研究分担者 |
紋野 雄介 東京工業大学, 工学院, 助教 (10744477)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 内視鏡 / 胃 / 機能性ディスペプシア / 3次元 / 画像計測 |
研究実績の概要 |
本研究の最終的な目標は、軟性内視鏡を用いてヒトの胃の内圧・容量・3次元形状を統合して計測するシステムを開発することである。初年度である当該年度は、ヒトにおけるシステムを開発する前段階として、シリコン胃モデルを用いて内圧・容量・3次元形状を統合して計測するシステムの開発を試みた。まず、コンピューター上での胃の3次元形状の再現に最適なシリコン胃モデルの開発に重点を置き、さらに内視鏡を通じた消化管内圧測定とガス注入量を測定する機器の設定を行った。シリコン製の人体モデルを製造する企業と協力し、①軟性内視鏡を容易かつスムーズに操作できる胃モデルの大きさと形状、②撮影した内視鏡画像からStructure from Motionの解析ができるモデル内面の構成と模様、③内視鏡からの低圧の炭酸ガスの注入ならび脱気で適度にモデル全体が伸縮するシリコン素材、④注入した炭酸ガスがモデルから漏出しない機密性、の4点について試行錯誤を繰り返した。合計6回のサンプルを作成し、繰り返し検証と修正を行うことで最終的に本研究に適したシリコン胃モデルを開発できた。これが当該年度の主な実績である。また、内視鏡を通じた胃内圧と炭酸ガス流量は非常に低圧かつ微量であるため測定できる機器が限られていたが、この微量の圧と流量を測定できる高感度センサー機器を選定できたことも実績である。このように、最終的な研究目標であるコンピューターソフトウェア開発の前段階となる周辺機器の用意を完了したことが当該年度の研究実績である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Structure from Motionの解析を用いたコンピューター上での胃3次元形状の再現に最適なシリコン胃モデルの作成は、これまでに申請者と企業の両者に経験がなかったために、完成に時間を要した。特に、①内視鏡の操作性、②Structure from Motionの解析に適した内面模様、③シリコン素材の伸縮性、④ガス漏出のない気密性、と開発と修正を必要とする要件が多かったことが完成に時間を要した理由である。また、内視鏡を通じた消化管内圧測定とガス注入量を測定する機器の購入はできたものの、その電気回路とガス流路の接続と設定にも専門的な知識と技術を要したたため、その設定に時間を要したことも理由である。
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今後の研究の推進方策 |
コンピューターソフトウェア開発の前段階となる周辺機器の用意を当該年度に完了できたため、次年度は開発したシリコン胃モデルを用いたコンピューターソフトウェアの開発に注力する。当該年度の研究進捗の遅れへの対応策として、大学院生を中心とした研究協力者の増員を検討している。また、シリコン胃モデルを用いたシステム開発とヒトの胃を対象としたシステム開発を平行・統合して行うことで、開発をより迅速に進められることを期待している。また、ヒトの胃を対象とした開発は当初2年間を予定したが、症例数を少なくしたうえでこれを1年間に短縮する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では当該年度はシリコン胃モデルを用いて胃の3次元形態を統合して計測できるコンピューターソフトウェアシステムを開発する予定であった。しかし、研究進捗に遅れがあり、当該年度はコンピューターソフトウェアシステムの開発には至らなかったために、高性能グラフィックコンピューターを購入しなかったことが次年度使用額は生じた主な理由である。また、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、医学系・工学系学会がオンライン開催となり旅費が不要となったことも理由である。次年度にはコンピューターソフトウェア開発を進める予定のためこれらの必要物品を購入する予定である。
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