研究課題/領域番号 |
21K12741
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松井 栄樹 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (90369976)
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研究分担者 |
高山 勝己 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70226934)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | がんPDTシステム / 修飾フタロシアニン / ラマン散乱測定 |
研究実績の概要 |
がんPDTシステムに適用可能な、架橋部位と相互作用部位から成る二量体Pcを合成し、MALDI-MSの結果から生成を確認した。また生体内での相互作用による、がん細胞への色素集積化を目的とした修飾水溶性Pcを合成し、MALDI-MS、ESI-MSの結果から生成を確認した。合成した修飾水溶性Pcは、極性部分としてアミノ基、チオエーテル基、エステル基、ピリジル基をそれぞれ有する化合物であり、得られた修飾水溶性Pcはソーレ帯およびQ帯がUV-vis測定により観測され、Pc骨格の形成が確認された。また、弱酸性や弱塩基性の状態での水への溶解性を確認し、Pc骨格の分解が起こらないことを確認した。 さらに、「生体分子―Pc複合体」の形成を確認するため、ESI-MSによる複合体検出実験を行い、相互作用した種の質量、理論マスパターンと一致したシグナルを確認、同定した。これらは本研究にて提案する連鎖PDTシステムの基盤となるものである。 また、レーザー照射による糖鎖脱着の確認を目的とした、レーザー照射―スペクトル検出システムを市販の分光装置を組み合わせて構築した。ダイオードレーザーに(532, 660 nm)の2種類を選択し、20X対物レンズ、レーザー光と散乱光を分離可能なフィルターをそれぞれ備えた散乱測定システムをSMA―ファイバーにより小型CCD検出器に接続して構築し、PC上から測定、データ取り込みが出来るようになった。 今後、連鎖PDTシステムの基本機能の測定に活用し、研究データを蓄積する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始1年目であるため、計画はおおむね順調に進展している一方で、課題も出てきている。 令和3年度の計画であった、(1) 二量体Pcの合成と糖鎖―Pc複合体の形成(実験)については、二量体Pcの合成と同定は予定通りできたが、収率と類縁体の合成が課題となった。これらは、合成ルート自体の問題でもあるので、引き続き違うルートでの合成と、同様の機能を発現する化合物の探索を続けていく。 (2) レーザー照射―スペクトル検出システムの構築(実験装置の製作、実験)については、上記の通り、目的とするシステムが構築できた。 来年度以降は、得られた知見や化合物、検出システムを基盤として、研究計画を予定通り遂行していく。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は2年目であり、まずは計画通り研究を進める。 令和4年度の計画であった、(1) 蛍光プローブによる一重項酸素検出システムの構築(実験)、(2)マウス癌細胞株への本PDTシステムの適用(生体試料実験)について、共同研究者の協力を得ながら推進していくと同時に、昨年度の課題であった、同様の機能を発現する化合物の探索を継続して実施し、がんPDTシステムの基盤事項の確認を行う。 そして、令和5年度の(1)効果的な「Pc複合体」構造の探索と確定(実験)、(2)ヒト癌細胞株への本連鎖PDTシステムの適用(実用に向けた指針の提示)へと繋げていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は合成したフタロシアニンを用いた生体試料実験について、分担者により試薬や器具類を購入し、実験準備を行った。 生体試料実験のシステムを構築する上で、若干の次年度使用額が生じたが、研究計画は変更せず、翌年度分として請求した助成金と合わせて、構築したシステムを用いた研究を行っていく。
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