研究課題
本研究は、我が国における献体を使用した医療機器の研究開発を推進する実施基盤を構築すべく、covid-19の感染拡大により浮き彫りにされた献体使用の問題点を分析し、法令・指針等に沿った適正な献体使用のあり方を検討し、指針案を提示することを目標としている。研究計画では、2012年の『臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン』の公表により、献体を使用した手術手技修練(CST)が普及しつつあるが、医療機器の研究開発の実施例はほとんどないことから、R&Dの実施における障壁となる課題を明らかにし、適切な運用のあり方を提示すべく、解剖学教室、製販企業、審査機関等を対象とした実態調査を行うとともに、北海道大学で実施するcadaverを用いたR&Dの内容を検証し、最終年度には、実施基準と評価基準からなる指針案を提案することとしている。2020年度の研究概要は以下の通りある。・2022年7月4日 研究分担者の国立医薬品食品衛生研究所・医療機器部室長 岡本吉弘氏ならびに、慈恵会医科大学腎再生医学講座特任教授、日本外科学会CST推進委員会副委員長、厚生労働省『実践的な手術手技向上研修事業に係る企画書評価委員会』委員長 小林英司氏が来札。北海道大学の研究者(研究代表者七戸俊明、研究分担者平野聡、佐藤典宏らと研究の打ち合わせを実施した。・2023年2月24日 前年度に引き続き「医療機器開発におけるカダバー使用のワークショップ」を開催した。文部科学省、厚生労働省、経済産業省の担当官、PMDA、AMED等の審査・支援機関の担当者、ご遺体を使用した医療機器開発の実施実績のある企業の代表者ならびに、アニマルラボの運営担当者が参加し、北海道大学の研究者とともに本研究の課題であるご遺体を使用した医療機器開発のあり方について討論を行った。現在、その内容を公表すべくまとめの作業を行っているところである。
2: おおむね順調に進展している
ご遺体を使用した医療機器開発の問題点を解析し、適正な実施のための指針案を作成するのが本研究の目的であるが、「医療機器開発におけるカダバー使用のワークショップ」を開催するなど、国内のステークホルダーと密な連携を取っており、最終年度の指針案の作成には支障がないと思われる。
国内で実施する全てのご遺体を使用したR&Dは日本外科学会CST推進委員会に報告される。日本外科学会と連携し、現在の国内でのR&Dの実施状況の取りまとめを行い、これまで実施した3回の「ワークショップ」の検討内容を踏まえて、指針案を作成する予定である。
Covid-19の影響でR&Dの実施が遅れたため、予定していた事務補助員の採用を見送った。R5年度は計画通り実施する予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
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