研究課題/領域番号 |
21K12747
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 正明 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (80623412)
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研究分担者 |
千田 浩一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20323123)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線 |
研究実績の概要 |
厚生労働省は、2018年に過剰な医療被曝を防ぎ診療の安全対策を強化する方針を示し、そして新規制を盛込み(省令改正)、更に「診療用放射線の安全利用の為の指針策定に関するガイドライン(医政地発1003第5号R1年10/3)」を発出した。即ち患者過剰被曝防護は国家的問題で、患者被曝記録が重要課題である。さらに医療被曝に対する国民の関心が高い。よって医療における被ばく線量評価は非常に重要である。しかし実用的な高感度患者線量計は現在無く、より超高感度な測定システムが必要である。そこで当研究は超高感度リアルタイム被曝線量計開発の基礎として、X線検出部の蛍光体の輝度劣化現象と回復現象を検討し、超高感度線量計の検出部の開発に役立てる。前年度に引き続き本年度はX線蛍光体の基礎的評価検討を行った。具体的にはX線照射によって輝度劣化した蛍光体の輝度回復に関する基礎検討を実施した。すなわち蛍光体にはX線照射によって生じた輝度劣化が加熱処理や光照射処理によって輝度回復する現象を確認するため、輝度劣化した蛍光体に、加熱処理、光照射処理を行い輝度回復について検討した。その結果、X線照射で輝度劣化してからの時間については、時間が経過した方の輝度が高くなる傾向があり、温度が高い方が輝度回復はより大きくなる傾向が認められた。また蛍光体への光照射処理については、外光や照明下等の明所で保管したものでは暗所保管に比べ輝度回復がより大きいことが分かった。また小児のCT線量測定に関する初期的な検討もはじめた。今後も引き続き基礎実験等を行い、線量計開発へ向け詳細な検討を実施する予定である。 (主な研究協力者:加藤聖規、藤沢昌輝、山田歩実、伊藤美咲、進藤僚太、山本啓介)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残っており、そのため実験装置等の使用ができないことが多く、研究環境も十分ではなかったため、当初の予定通りには実験研究が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
基礎的検討をさらに推進して測定実験を充実させるなどして、X線検出部の蛍光体の輝度劣化現象と回復現象等を主に検討し、線量計の検出部の開発に役立てたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍であり、依然として医療関連機関等における種々の活動等が制限された状況あった。そのため、研究活動の進捗は遅れており、予定通りには研究が進まず、直接経費の使用が滞った。次年度は線量計開発や、成果発表旅費等に経費を使用する計画である。
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