研究実績の概要 |
カフレス血流計の標準化に向けた活動を継続した。最終年度の報告は以下である。 1.昨年度学術誌に投稿したカフレス血圧計の新しい規格提案をもとにISO, IEEE委員と議論した。われわれは、家庭での利用を主とする規格提案であり、Over the-Counter機器としての企画を考えた。しかし、委員の賛同はえらなかった。その理由は、ISO, IEEE規格委員会は臨床規格の制定を目的としており、メーカもそれに追従する形となっている。すなわち連続血圧の評価はカテーテルを用いた直接血圧計の値と比較して精度を検証する意見が大半を占めていた。欧米の倫理規定とわが国の倫理規定の間に相違はないが、わが国では、健常人の直接血圧測定は規格実験としては困難である。2.IEEE規格員会に出席し、IEEE P1708 1708-2014 - IEEE Standard for Wearable Cuffless Blood Pressure Measuring Devicesにつづく連続血圧計の議論に参画した。直接法を基本とした規格がほぼ完成し、最終調整をする段階となった。3.ISO規格委員会に出席し、直接法での血圧精度検証を含んだ案の検討をおこなった。スイスのメーカより2年以内に規格を完成するようスケジュールが示され、委員としての参画を代診されたが、断りをいれた。また、IEEEとISOとで統一された規格とすることが決定した。 以上、ISO, IEEEのカフレス血圧計の取り組みから、わが国でのカフレス血圧計の新規開発は難しことになった。特に簡単な原理で血圧を推定できるカフレス血圧計は医療機器開発に取り組んでいない電子機器メーガが興味を抱いていたが、彼らの開発の道は閉ざされたといえる。われわれの主張は受け入れられず、本研究での成果が規格に反映されなかったことは残念である。
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