研究課題/領域番号 |
21K12763
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
服部 秀計 藤田医科大学, 医療科学部, 准教授 (70351046)
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研究分担者 |
寺本 篤司 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (00513780)
大野 良治 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30324924)
安田 あゆ子 藤田医科大学, 大学病院, 教授 (30402613)
太田 誠一朗 藤田医科大学, 医学部, 講師 (80726688)
外山 宏 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90247643)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 造影剤アレルギー |
研究実績の概要 |
ヨード造影剤を用いる造影CT検査は,X線の透過性を変化させることでヨード造影剤を使用しない単純(非造影)CT検査と比較して,病変や組織のコントラストを強調することで病変を明確にすることができる。ヨード造影剤によるアナフィラキシーは0.04%であり,極稀に死亡に至る。静脈内薬物投与によるアナフィラキシーでは早くて1分以内に発症し,概ね10から20分以内に心停止を引き起こされる。そのため,早期の初期介入が望まれる。当大学では,当大学病院の医療の質管理室と共同し,FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)を用いた造影剤によるアナフィラキシー予防業務について検討してきた。その中で,1)ヨード造影剤アレルギーの情報共有ができない。2)造影剤アレルギー症状の発見および判断に問題がある,という上記2点のリスクが存在することを明らかとした。検査を担当する医療従事者は,被ばくを避けるため撮影室外にいる。そして,極稀にしか遭遇しない症状であり,患者からの距離もあり症状の発見・判断が遅れることがある。AIを用い画像上の微妙な変化を検出することで,アナフィラキシーを呈した患者を撮影のタイミングで検出し,早期介入を可能とする必要性があると考えた。また,アナフィラキシーを呈する患者は,花粉症やその他薬剤などのアレルギー歴を有する確率が高いことが一般的に知られている。以上より,Radiomics解析を行うことで,アナフィラキシーショックを呈した患者の検知に役立てたい。本研究においてはMachine Learningを 用いた「AIを活用したアナフィラキシーのRadiomics解析による検出手法の開発」を目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アナフィラキシーによるCT画像所見の変化が最も出やすいと想定される造影前後の画像に対して,末梢気管支の径,璧厚 および 肺野のCT値変化,下大静脈の形状 等について視覚的評価を行った。各所見において優位差のある変化を視覚的に認めることができたが、AIにて検出するための特徴量抽出に手間取っている。
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今後の研究の推進方策 |
アナフィラキシーに伴う血管形状の変化/透過性亢進を検出するための教師データ作成をアナフィラキシーによる上記所見の変化が最も出やすいと想定される造影前後の肺野画像に対して,末梢気管支の径,璧厚 および 肺野のCT値変化,下大静脈の形状 等について視覚的な評価を行った結果、有意差があることを明らかにできた。まずは、これらの所見の中でもっとも簡単に評価できると考えられる下大静脈所見について、特徴量の変化有無をAIにて検出できるかを確認していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
アナフィラキシーによるCT画像上変化が最も出やすいと想定される造影前後の肺野画像に対して,末梢気管支の径,璧厚 および 肺野のCT値変化,下大静脈の形状 等について特徴量の変化有無を検討する事としていたが、これに対する根拠となりうる報告、論文などが乏しかった。解析がもっとも簡単と考えられる下大静脈の所見について初期的検討は行なったものの、画像的検討を先ず行ったことにより必要となる経費が当初より大幅に少なくなった。具体的には深層学習演算用コンピュータ および 医用モニタの購入を当初予定していたが、画像的検討をひとまず行うととしたたために、これらの購入を遅らせることとした。藤田医科大学が有するサイバーネット社製解析ソフト開発用ソフト 「MATLAB 」を搭載し,ソフト開発を行える環境を必要とするため,開発及び評価用ワークステーション型PC・DELL社製New Preci sion 3640 Towerを設備備品申請していたが、これも同様に購入を遅らせることとした。われわれは、画像所見についての検討において良好な結果が得られたと考えている。本年度中に海外学会を含めこれらについて議論を行った後、今後アレルギー症状のなかった患者および乏しかった患者も用いた自動検出について検討していく。
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