これまで実施してきた流路の総断面積または本数および出口角を変化させたインペラモデルをもつ血液ポンプ実機を用いた溶血試験結果に対して、赤血球にかかるせん断応力とせん断時間から生じる溶血量をパッシブスカラーとした輸送方程式を解き、遠心血液ポンプの出口において溶血量を定量化する新しく提案した溶血量の推定結果と、各計算セルにおけるせん断時間を計算セルのサイズと流速から近似的に求め、遠心血液ポンプ全体の溶血量の積分値を定量化する従来の溶血量の推定結果の相関係数を比べると、新しく提案した推定手法による溶血量との相関係数が、従来の推定手法による溶血量との相関係数よりも大きかった。その原因として、従来の推定手法では、各計算セルにおけるせん断時間を計算セルのサイズと流速から近似的に求めるプロセスにおいて、高せん断域における溶血量が低く見積もられてしまうため、形状の変化による溶血量の推定値の変化が明確に現れないことであることが考えられた。
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