研究課題/領域番号 |
21K12776
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
大杉 成喜 皇學館大学, 教育学部, 教授 (10332173)
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研究分担者 |
伊藤 史人 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (10583669)
金森 克浩 帝京大学, 教育学部, 教授 (60509313)
新谷 洋介 金沢星稜大学, 人間科学部, 准教授 (70733450)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アシスティブ・テクノロジー / 重度身体障害 / 視線入力 / eSports |
研究実績の概要 |
前年度に続き、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から多大な活動制限を受けた。研究分担者・協力者が会して実験等を実施することができなかったため、それぞれの研究分担者・協力者ごとに研究実施を進めるとともに、遠隔で情報共有・協議を進めてきた。 「課題1 重度身体障害児者の視線eSports環境の開発」については遠隔ドローン操作実験を行った。リモートデスクトップによる遠隔操作実験については研究協力者の笹野・梶山・岡元が札幌・東京・宮崎の自宅から三重県の皇學館大学にアクセスし、トイドローンを遠隔操作することに成功した。また、学内無線LANの電波・チャンネルが増強されたため、電波の弱いトイドローンの屋内制御の制御範囲が狭くなるという問題も見いだせた。 研究協力者の梶山、岡元、引地とともにコンシューマゲームの操作について検討を進めた。梶山は吉村(新たに加わった研究協力者)とともに視線(エイム)+視線による物理スイッチの機能切り替えを考案し、健常者と変わらない操作性を実現した。この操作状況については引地とともにYoutubeにおいて「ひきじーと見るバイオRE4【重度障害者が視線入力で挑戦】」の公開を続けている。 「課題2 重度身体障害児者eSportsニーズ調査」については新型コロナウィルスの流行のため重度障害のあるゲーム利用者への訪問調査は十分進んでいない。少人数で予備的な訪問を行っている段階である。 「課題3 重度身体障害児者eSports大会の機器・ルール設定・実施」については研究分担者の伊藤がインクルーシブゲーム EyeMoTシリーズ(ネット対戦ゲーム)を開発・改良し、遠隔大会を実施してきた。ネット対応インクルーシブゲームのEyeMoT 3DXシリーズを拡張した。重度障害児支援システムEyeMoTは公益財団法人岩佐教育財団第2回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞教育の部を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大によるまん延防止等重点措置等の為、出張等が困難な状態が続いた。感染対策に注意していた研究者自身も感染してしまう事態も発生し、学内での予備実験等も制限を受けた。遠隔試合、遠隔ドローン操作実験、視線によるコンシューマゲーム操作の検討、リアルタイム配信、コンテンツ配信等遠隔で可能なことを優先して進めてきた。感染予防の観点からDMDやSMA当事者である研究協力者のところに出張したり、一堂に会して実験・協議を行うことはできていない。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス流行のため遅れた分、研究期間の1年延長を申請する予定である。それに合わせて当初計画の北海道医療センターでの研究協議会および実験は令和6年度に実施する計画である。 DMD当事者梶山らとともに視線とスイッチ(視線による機能切り替えを含む)ゲーム操作の向上をめざしていく。障害当事者同士の対戦だけでなく、障害のある人ない人がともに対戦を楽しめる環境も整理していく。 ここまでの研究成果である視線によるゲーム操作の現状と課題については日本教育情報学会年会(神戸)で口頭発表、日本特殊教育学会で自主シンポジウムを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大によるまん延防止等重点措置等の為、出張等が困難な状態が続いた。2003年5月より新型コロナウィルス感染症は5類に移行したが、感染状況を見ながら実践を続けていく。北海道医療センターで一堂に会する研究協議会は次年度実施とし、研究計画を1年延長する。
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備考 |
研究協力者の梶山・引地を中心に作成したYoutubeチャンネル。重度障害者の視線入力によるコンシューマゲーム操作を実況する。視線の位置(エイム)によるキャラクタの操作と、物理スイッチの機能の視線による切り替えの操作の実際がわかる。物理スイッチの切り替え機能は吉村の技術協力により実現した。
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