研究課題/領域番号 |
21K12780
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
本間 敬子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90357971)
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研究分担者 |
梶谷 勇 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00356768)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 福祉工学・機器 / 導入評価 / 情報共有 |
研究実績の概要 |
本研究では、福祉機器開発を共創的プロセスととらえ、関係するステークホルダー間で共有すべき情報とは何かを医療技術評価(HTA)のフレームワークを規範として明らかにするとともに、情報を共有するための手段として、情報共有ツールを開発することを目的とする。 令和3年度は、HTAに関する文献及び国内の福祉機器やロボット介護機器の導入に関する文献調査を進めた。また海外調査の準備を行った。 文献調査:HTAに関する国内外の文献、及び福祉機器やロボット介護機器の導入に関する国内の文献の調査を進めた。また、HTAフレームワークに基づく評価を実施する際に必要な情報を得る方法を確認するため、ロボット介護機器を例にとり、試行的評価を試みた。フレームワークとしてMASTを選択した。MASTは事前検討と本検討の2段階に分かれており、今回は事前検討を実施した。評価の対象は、屋外移動支援及び排泄支援という、ロボット介護機器の2つのカテゴリとした。試行の結果、情報収集に関して、1)製品を用いた検証に関する文献が非常に少ない、2)対象ユーザの正確な推定に使用できる公開資料が非常に少ない、という2点の問題が認められた。 国内調査:COVID-19感染拡大防止の観点から、本年度は国内における聞き取り調査を実施できなかった。 海外調査:海外聞き取り調査は次年度に実施する計画であるが、オールボー大学で開催された福祉技術評価のワークショップへの参加や、研究協力者(在デンマーク)とのオンライン会議の実施等により、現地の状況を把握し、次年度に向けて準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、福祉機器開発において共有すべき情報の規範として、HTAフレームワークに関する文献調査に加えて、国内を対象とした聞き取り調査を実施して分析する計画であったが、COVID-19感染拡大防止のため、計画していた国内聞き取り調査の実施が困難となった。そのため、主に文献調査と試行的評価により、情報収集の実施における問題点を明らかにした。また、次年度に海外聞き取り調査を進めるための準備を行った。これらによって、次年度への影響を極力小さくした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の方策で取り組む。(1)文献調査では、本年度に引き続き、評価に必要な情報及び国内の福祉機器に関する評価事例において不足している情報を、具体例に基づいて明らかにするとともに、それらの情報や、それらを代替・保管する情報を入手する方法について検討する。(2)COVID-19の感染状況に留意しつつ、前年度に実施できなかった国内聞き取り調査を実施する。(3)海外聞き取り調査では、HTA及びその福祉機器への適用に関する最新動向を調査するとともに、情報共有方法の具体例に関する情報収集を行う。(4)情報共有ツールの開発においては、ツールのユースケースを定義し、基本設計を進める。 令和5年度は当初の計画通り、情報共有ツールの試用と、その結果に基づく改良を実施する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報共有ツールを開発する際のプラットフォームとして、タブレット型パーソナルコンピュータを購入する計画であったが、共有すべき情報についての検討を進めた段階で購入することがより効果的であるため、次年度に購入する予定である。また、COVID-19感染拡大防止のため、計画していた国内聞き取り調査を実施できず、旅費及び謝金を使用しなかった。次年度以降の調査実施に充当する予定である。
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