本年度は,紫外線強度の測定実験と並行して,光学シミュレーションにより最適なレンズ選定やレンズ間距離の設定を行い,その結果を測定実験にフィードバックすることで,紫外線強度の改善を目指した。 まず,光学シミュレーションでは実験系を詳細に模擬し,光源-レンズ間距離,レンズーレンズ間距離を市販で入手可能なレンズの直径,焦点距離の組み合わせから最適化を行った。その結果,前年度の集光システムは光源から放射した紫外線光を2枚の球面平凸レンズで集光していたが,本年は球面平凸レンズを1枚追加することで紫外線強度をさらに強めることができることがわかった。具体的な光学系の装置構成は,4本のエキシマランプからなる光源,球面平凸レンズ3枚(直径60 mm,焦点距離80 mmが2枚,直径30 mm,焦点距離40 mmが1枚)で,光源-レンズ間距離27mm,レンズ―レンズ間距離①14mm,レンズ―レンズ間距離②15mmである。 次に,紫外線強度の測定結果では,レンズ2枚使用時点で前年度の紫外線強度の最大値1.86 mW/cm^2を2.31 mW/cm^2に上昇させることができた。また,3枚目のレンズを追加したときには,紫外線強度を 3.47 mW/cm^2に上昇させることができた(これはハイパワーLEDの紫外線強度に匹敵する値である)。さらに,円筒で光学系を覆った実験では 3.57 mW/cm^2の紫外線強度を得ることができた。 その紫外光を直径0.4mm,長さ1mの光ファイバーで伝送し,紫外線強度を測定した。紫外光の伝送自体は目視で確認できるが,伝送した深紫外線の強度は0.01 mW/cm^2よりも小さな値となった。これは光ファイバーに紫外光を入射させる際の入射角による損失が大きく表れていると推察される。入射光を光ファイバーと平行にすることで損失を抑えることができると考える。
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