研究実績の概要 |
本研究では,自動車運転支援の臨床現場での取り組みを通じて、360度カメラ映像を活用したリモート実車評価システムの構築・整備とその精度検証を行う.さらに,撮影した映像を療法士の育成や患者教育に活用した場合の教育効果についても検証を行い,療法士,患者がともに利用できる運転評価・訓練に関する教育プラットフォームを開発・構築する. 2023年度は、高齢者および脳卒中患者を対象とした実際の運転挙動を撮影し、360°動画を視聴した場合の酔い等の違和感についてパイロット的に調査した。交差点の右左折など景色が大きく変化するようなシーンでは、Sensory Conflictが発生しやすく視聴者の不快感を惹起する可能性が高いことを確認した。 これらのこともあり、療法士の育成に向けた教育効果の検証に使用する動画として、不快感を惹起しないように360度動画を選択・編集した。 2024年度以降は、着目すべき視点等の助言や学習プログラム等で動画視聴時の視線動態に改善がみられるかについて検証すべく、健常大学生および実車運転評価経験のある作業療法士を対象に、どこに着目しているかなどの視線動態のデータを集積する予定である。 その後、データ集積とデータベース化,対象者へのフィードバックプログラムの効果検証として、リモート実車評価システムを構築し、脳卒中患者を対象に実車評価場面の収録・データベース化を進める.また,患者自身が運転している様子を360度カメラで撮影した映像を用いたフィードバック訓練による運転行動の変容や安全運転に関する意識の改善に対する効果の検証を進めていく予定である.
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