現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に設計製作を委託した避難器具モデルが完成した。製作した避難器具モデルの性能を確認した。50kgダミーを避難器具モデルに乗せ、基本的な操作、移動を安全に実施できるかを確認した。次に大学内にある階段(10段、斜度33°、斜面距離2.8m)で、50kgダミーを乗せた避難器具モデルを被験者2名で引き上げる実験を実施し、被験者の体力と引き上げ時間の関係を検討した。被験者の体力を握力とみなし、体力の大きいペアから小さいペア5組を設定し、階段斜面の引き上げ時間を測定した。被験者2名の握力の合計値(kgw)と、その被験者2名による引き上げ時間(s)は、被験者ペア1(105kg,6.1s)、被験者ペア2(84kgw,8.7s)、被験者ペア3(75kgw,8.1s)、被験者ペア4(60.5kg,48.4s)、被験者ペア5(45.5kgw,68.0s)で、被験者ペアの握力の合計値が60kgwを下回ると引き上げ時間が長くなった。このことから、高齢者施設での避難を想定した場合、介助者2名のうち、2名ともに体力が弱い(例えば女性介助者が2名)と試作した避難器具モデルでは実用的な避難は困難なことがわかった。以上のことから、一定以上の体力がある介助者の組み合わせ(例えば2名のうち、1名が男性など)では本研究のような人力による避難器具モデルでの避難を検討し、介助者2名ともに体力が弱い組み合わせでは電動など動力を用いた避難器具モデルによる避難を検討するのが良いことがわかった。そこで電動による避難器具モデルを入手し、特に体力が弱い介助者への適用についても検討を始めることにした。 以上のことから、試作した避難器具モデルの基礎的な評価を実施し、人力による避難方法の限界について、見通しを立てることができたので、本研究は概ね順調に進展しているとした。
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