研究課題/領域番号 |
21K12813
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
郷 貴博 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (10782675)
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研究分担者 |
東江 由起夫 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90460328)
須田 裕紀 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (20567200)
前田 雄 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (70618206)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 下腿義足ソケット / ソケット適合 / ソケット設計 / 3Dデジタル技術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、切断者に適合した下腿義足ソケットを製作し、適合ソケットと断端の三次元形状を客観的に比較することで、3D-CADソフトを用いて下腿義足ソケットを製作する際に必要な項目、適合性の良いソケットの条件について明らかにすることである。比較分析項目はソケット設計に必要なパラメータ(周径、体積、長さ、断面積)とし、その結果より①ソケット設計における断端への最適なコンプレッション値および最適形状(周径・幅)を定量化し、②3D-CADソフトを活用した体系的な下腿義足ソケット設計手法の構築を目指ものである。今年度は3D機器を用いた断端形状ならびに義足ソケット形状の計測、形状分析、ソケットの造形方法について、その手法を確認した。特に、3D-CADソフトで設計したソケットを造形するために必要な3D-Printerを購入し、3Dデータの編集方法、プリンタの設定、実際の造形について検証し、実験が可能であることを確認した。さらにウレタンゲルで製作された模擬断端に対し、形状の3Dスキャン、3D-CADソフトによるソケットの設計、3D-Printerによる造形を行い、一連の作業が行える環境を整備した。 実際の切断者に対する計測はコロナ禍における研究施設への入構制限によって実施が困難な状況であった。今後は近隣にある義肢装具製作企業に依頼し、研究に協力いただける下腿切断者のリクルートをするとともに、研究協力依頼、日程調整を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績概要に記載した通り、すでに模擬断端を用いた予備実験および計測機器の整備・充実化を実施し、下腿切断者を対象とした実験計測が可能な状態である。しかし、研究遂行および計測において、コロナウィルス感染拡大の影響もあり、被験者のリクルートに難を要している。また研究施設内への入構規制・条件の厳格化期間が長期に渡って発生したため、被験者の入構が困難であった計測条件として特別な条件を設定しているわけではないものの、実際の下腿切断者をリクルートするためには、①周辺の義肢装具製作施設への依頼、②各義肢装具製作施設から下腿切断者個人へ連絡、③義肢装具製作施設から被験者の紹介、④研究者から被験者へ依頼というプロセスになる。しかし①新潟県内の下腿切断者の数が限られること、②日常生活で義足を用いており、計測へ協力していただける方が近隣地域では限られること、といったことに苦慮している。また県外移動を要する被験者へは研究協力依頼ができない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は被験者を確保し、入構制限が緩和された際には、すぐに計測用ソケットの製作を開始する。すでに研究協力の内諾を得ている被験者が複数名いる。また3Dスキャナや3Dプリンタ、3DーCADソフトなどの研究機器については、その使用方法を確認済みであり、計測準備は整っている。また分析項目も明確化している。まずは、入構制限の緩和を待ち、実験環境の整備を実施する。また結果については関連学会への発表ならびに論文投稿を計画している。 もし引き続き研究施設への入構が規制された場合には、模擬断端を用いて計測を実施し、下腿切断端と義足ソケットの製作について必要な各種条件との関係性について調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通りに物品の購入をしたが、購入時期の価格変動や販売代理店の値段交渉などによって若干の残高が発生した。残高は、2022年度は3Dプリンタを稼働して研究用ソケットを作製するため、その材料費に補填する。
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