研究課題/領域番号 |
21K12815
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
水野 裕志 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 准教授 (30591234)
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研究分担者 |
松村 雅史 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (80209618)
松井 信正 長崎総合科学大学, 工学研究科, 教授 (90759797)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ウェアラブル / 機械学習 / 生活習慣病 / 深部温推定 / 脈波伝播速度 / 脈波伝播時間 / 血圧推定 / スティフネスパラメータβ |
研究実績の概要 |
本研究は、首元や足元で簡単に使用できるウェアラブルネック-レッグ型生活習慣病予防システムの開発を目的とする。生活環境並びにバイタル情報を融合させることで、体温変化による‘冷え’や動脈硬化の指標に基づく抹消血行障害の重症度を検出して、血流増加効果が期待される首元や足元を加温し、医療機関から適切なアドバイスが受けられるシステムを構築する。2022年度は、生活習慣病の発生に伴う‘冷え’や動脈硬化性に着目し、首元および足部表面温度を用いた深部温度の推定精度の向上、動脈硬化の指標である脈波伝播速度PWVを用いた血圧値の推定精度向上とスティフネスパラメータβ評価の可能性を検討した。さらに、試作デバイスによる長時間モニタリングを検証し、体温とPWVの変化から抹消血行障害による重症度の予兆検知方法を検討し、血流増加効果が期待される加温方法を考察した。2022年度の研究成果は以下の通りである。 (1) 機械学習による予測深部温と足部末梢温との温度較差を連続的に測定できるウェアラブルシステムを試作した。温度較差の変化を1次モデルで解析することで、臨床実績のある重症度分類に基づく指標温度への到達時間を統計的に解析することで重症度の予兆検知方法を検討した。 (2) 首元、手首ならびに足首にやさしく無拘束フィットできる光電脈波型ウェアラブルシステムを構成し、座位や臥位でも機械学習を用いて収縮期、拡張期血圧および平均血圧をPWVから連続的に高精度推定できるシステムを提案した。また、推定値からスティフネスパラメータβを数値計算し、臨床データと比較することで評価の可能性を試みた。さらに、首元だけで心電図データと脈波データを測定できるデバイスを試作し、脈波伝播時間PTTから精度良く収縮期血圧を推定できるシステムを構築した。屋内外問わず、連続的に運動時においても高精度で血圧測定できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、体温変化および血行動態の生体情報データの特徴量を解析して各種データの推定精度を向上させた。また、連続的にモニタリングできるデバイスを試作し、長時間データから統計的に抹消血行障害による重症度の予兆検知方法を提案した。最終年度も引き続き、様々な日常生活下における環境条件でのデータ収集を進めることを課題とし、検討している重症度予防のための加温方法を検証する。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、様々な日常生活下での生体情報データ収集と各種データの推定精度向上を検討する。予測子を減らした高精度予測の実現に向けて、ニューラルネットワークやディープラーニングを用いて解析する。そして、データ解析結果を考慮してネック-レッグセンサを改良する。また、検討している重症度予防のための加温方法を検証して最適な制御方法を見出す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、当初予定していた計測器の校正費用が大幅に削減できたからである。次年度の使用計画としては、最終年度となるため、研究成果の発表や論文雑誌への投稿費用等に使用する予定である。
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