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2023 年度 実施状況報告書

実生活空間でのヒヤリ・ハット感覚をAR錯視誘発する外乱対処型受動的松葉杖歩行訓練

研究課題

研究課題/領域番号 21K12816
研究機関和歌山工業高等専門学校

研究代表者

津田 尚明  和歌山工業高等専門学校, 知能機械工学科, 教授 (40409793)

研究分担者 多羅尾 進  東京工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (80300515)
藤原 康宣  一関工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40290689)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード松葉杖歩行訓練器 / 受動的訓練 / AR錯視誘発 / リハビリテーション
研究実績の概要

本研究の目的は,松葉杖を使用し始めた患者,いわば松葉杖歩行の初心者のための訓練装置の開発である.松葉杖は,下肢を負傷してその治療中に,下肢への免荷を目的として使用されることが多いが,使用経験や事前知識が無い状態で試行錯誤的に使用すると誤った使い方になり,二次的な事故を誘発する恐れがある.我々は,そのような事故が発生する可能性を少しでも抑えるために訓練することが効果的と考え,そのための装置の開発を目指している.
松葉杖歩行における二次的な事故の例としては,平地を歩行する場合は歩行動作が規則的であるべきところ,不慣れなために不規則な歩行動作になったり,松葉杖の扱いを誤って体重のかけ方が不適切となり身体バランスを崩したり,周囲の物や他の歩行者など歩行進路上に現れる障害物に対処する際に歩行の安定性を失ってしまうことが考えられる.前の2つに対処する訓練装置の基礎概念と要素技術は過去に開発済みであり,本研究では最後の「障害物」に対処するための訓練機能の開発に注力する.歩行を妨げる恐れのある障害物の存在は,歩行者にとっては言わば外乱である.歩行動作に対する外乱を想定し,それに抗する訓練を目指すところに,本研究の独自性がある.
具体的には,患者がヘッドマウントディスプレイを装着し,そこに仮想的な障害物を提示する装置を開発する.この方法では,実際の障害物に物理的に接触するわけではないので,訓練の初期段階として安全を担保しながら訓練できる利点がある.
これまで,周囲の景色をHMDに内蔵されたカメラで撮影し,その画像に仮想障害物を重ねて提示することで,被験者がこれを使って歩行訓練できることを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

前年度までは,訓練装置の使用者(患者を想定)が実際の景色を肉眼で見ながら,その視界に仮想的な障害物を重畳して仮想現実的に視覚提示できるシースルー型のヘッドマウントディスプレイが訓練に適していると考えていた.実際に,それを用いて周囲の環境や仮想的な障害物を提示する機能を開発した.しかし,評価実験において実際に被験者がそれを用いて歩行訓練したところ,現実の景色と人工的な景色を重畳するところに違和感を感じる被験者が多くて実用性に欠けた.
そこで,周囲の景色をカメラで撮影し,それと仮想障害物の両方を視覚提示する新たなヘッドマウントディスプレイを購入し,それのための視覚提示機能を開発した.この段階で予想以上に時間がかかり,全体的に進捗が遅れた.
現在は,新しく開発しなおした環境で実験を行えるようになったが,前年度の遅れのために全体として遅れている.

今後の研究の推進方策

仮想障害物の視覚提示機能が完成し,実際に被験者に使用してもらってその感想の調査を進めてきた.具体的には,進路にボールを模した球を転がしてみたり,進路を他人が横断したりすれ違ったりする機能を開発して,この機能を使った模擬訓練を行いながら歩行動作を計測する実験を進めている.
今後は,具体的にどのような障害物をどのように提示すれば,訓練として有効となるのかを,実験しながら検討する.
これらの手順で,訓練をより効果的・実用的にするためにシステムの改良を続ける.

次年度使用額が生じた理由

前述の通り,松葉杖歩行訓練に参加する被験者(患者を想定)が使用する想定で,当初に試用したヘッドマウントディスプレイが,仮想的な障害物を被験者に提示するという目的で使用するには不適切であることが分かり,別のヘッドマウントディスプレイを購入した.そのために,視覚提示機能を構築し直す必要があり,全体のスケジュールが遅れている.結果として,本来当該年度で行う予定であった実験を行えず,結果として全体のスケジュールが遅れ,未使用額が生じた.しかし,その後は当初予定していたペースで進行している.
次年度には,訓練装置として仕上げの段階に入るため,そこで必要な物品を購入し,また成果発表に必要な経費を想定する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Perturbation Device for Crutch Walk Training2023

    • 著者名/発表者名
      Tsuda Naoaki,Ikoma Ryosei,Takahashi Ryo,Hayashi Kodai,Tarao Susumu,Fujiwara Yasunori,Nomura Yoshihiko,Kato Norihiko
    • 雑誌名

      2023 IEEE 32nd International Symposium on Industrial Electronics (ISIE)

      巻: n/a ページ: n/a

    • DOI

      10.1109/ISIE51358.2023.10228011

    • 査読あり
  • [学会発表] 足底圧分布を用いた介助動作中の腰部位置の推定2024

    • 著者名/発表者名
      森有希富, 津田尚明, 野村由司彦, 加藤典彦
    • 学会等名
      IIP2024 情報・知能・精密機器部門(IIP部門)講演会
  • [学会発表] 松葉杖歩行訓練のための障害物のVR提示2023

    • 著者名/発表者名
      山際 慎太郎, 生駒 凌征, 津田 尚明, 野村 由司彦, 加藤 典彦
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2023
  • [学会発表] 足底圧分布を用いた腰痛予防のための介護動作の姿勢推定2023

    • 著者名/発表者名
      森 有希富, 津田 尚明, 野村 由司彦, 加藤 典彦
    • 学会等名
      日本機械学会2023年度年次大会
  • [備考] 和歌山工業高等専門学校 知能機械工学科 BioMechatronics(津田)研究室

    • URL

      https://www.wakayama-nct.ac.jp/tsuda/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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