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2023 年度 実施状況報告書

サンスクリット古典文法学における属格形の意味論

研究課題

研究課題/領域番号 21K12842
研究機関広島大学

研究代表者

川村 悠人  広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50739068)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードサンスクリット語 / パーニニ / 文法学 / 属格形
研究実績の概要

1. パーニニ文典の訳注研究を継続し、属格表現に関わる資料を収集・分析しつつ、昨年の第一弾に続く第二弾として『東京大学言語学論集』に訳注研究の続編を発表した。本訳注は、パーニニ文典の一つ一つの規則に対して、翻訳・解説・例を丁寧かつ詳細に施すものであり、本邦では類例のない試みである。本訳注を継続し、完成させることにより、本邦におけるインド古典学の研究水準が飛躍的に向上することが期待される。
2. 『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』といったインド古代叙事詩を中心として、古典サンスクリット文学中に散見される注目すべき属格表現を収集し、資料としてまとめている。文法家たちが文法学文献で展開する煩雑な理論を追うだけではなく、作家たちによる実際の用例にも目配せをすることで、本研究をより豊かなものにすることができると考える。
3. 本邦初となるパーニニ文法学の入門書を書き上げ、出版社に入稿した。そこには本研究を遂行するなかで得られた資料や知見を大いに盛り込んでいる。本書は、これまで専門家以外の手には負えない難解な代物として敬遠されてきたインド伝統文法学(パーニニ文法学)の手ほどきをするものであり、上記と同じく、本邦におけるインド古典学の研究水準を向上させることができると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

関連するサンスクリット文法学文献の確認と読解を進めつつ、古典サンスクリット文学に現れる関連表現にも目を配って読解を進めることができたため。また、大きな研究成果の一つとして、パーニニ文法学入門の書籍刊行の準備を進め、出版社に入稿することができたため。

今後の研究の推進方策

1. パーニニ文典の訳注研究の継続とサンスクリット文学に散見される注目すべき属格表現の収集に努める。
2. 文法家パタンジャリが論ずる所有接辞論のなかに、本研究課題にとって重要な資料が含まれているため、本年は当該の所有接辞論の読解と資料のまとめ及びそれに関する研究成果の公表を一つの軸とする。
3. 9月に京都大学で行う集中講義にて文法家たちの所有接辞論を扱い、資料をまとめつつ、12月に同じく京都大学で行われる国際ワークショップにて、成果の一部を発表する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] カルナとアルジュナ、そして『マハーバーラタ』研究のこれから:川尻道哉『カルナとアルジュナ---『マハーバーラタ』の英雄譚を読む』書評論文2024

    • 著者名/発表者名
      髙橋健二・川村悠人
    • 雑誌名

      比較論理学研究

      巻: 21 ページ: 65-112

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 神器と魔法の古代書2023

    • 著者名/発表者名
      川村悠人
    • 雑誌名

      ユリイカ

      巻: 55 ページ: 256-263

  • [雑誌論文] 古代インド言語科学へのいざない(2)---パーニニ文典訳注(規則1.2.1--1.3.93)2023

    • 著者名/発表者名
      アダム・キャット/川村悠人
    • 雑誌名

      東京大学言語学論集

      巻: 45 ページ: 86-234

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Diamond Needle2023

    • 著者名/発表者名
      Yuto Kawamura, Jinghao Bai
    • 雑誌名

      BDK English Tripitaka Series

      巻: - ページ: 3-19

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] インド叙事詩の神器戦における記憶と呪句の役割2024

    • 著者名/発表者名
      川村悠人
    • 学会等名
      京都大学公開シンポジウム「『マハーバーラタ』研究の最前線---伝承の形成と物語の展開」
  • [学会発表] 聖仙たちの言語2024

    • 著者名/発表者名
      川村悠人
    • 学会等名
      京都大学人文科学研究所共同研究班(一般A班)「インドにおける『循環的存在論』の形成」第19回研究会
  • [学会発表] 文法学派における二種の否定2023

    • 著者名/発表者名
      川村悠人
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会第74回学術大会
  • [学会発表] インド言語哲学から空海を読む2023

    • 著者名/発表者名
      川村悠人
    • 学会等名
      比較思想学会50周年記念大会

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公開日: 2024-12-25  

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