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2023 年度 実施状況報告書

エミリア地方を中心とするカラッチ一族の制作活動-〈地方様式〉をめぐる図像学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K12878
研究機関成城大学

研究代表者

山本 樹  成城大学, 文学研究科, 特別研究員(PD) (90876343)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワードボローニャ派 / バロック
研究実績の概要

2023年度は文献収集および一次史料の精読に取り組んだ。また春の長期休暇を利用して、レッジョ・エミリアにも足を運ぶことができた。
本研究における同地の重要性は、アンニーバレ・カラッチが活動をおこなっていたことにある。アンニーバレは1580年代から90年代にかけて、レッジョ・エミリア司教座聖堂や聖ロクス同信会のために宗教画を描いた。画家が故郷ボローニャの外で重要な仕事を得られた背景には、レッジョ・エミリア出身でファルネーゼ家お抱えの文人、ガブリエレ・ボンバージの仲介があったとされる。ボンバージとの交友が、アンニーバレがのちローマのファルネーゼ家に出仕するための直接的な契機となったことに鑑みれば、画家にとってのレッジョ・エミリアでの活動期の重要性は疑われない。しかし、アンニーバレの作品が設置されていた聖堂の一部は取り壊されており、作品自体も売却されてイタリア国外のコレクションに入っているため、歴史的文脈を再構成したうえでの作品研究は容易ではない。

今年度の渡航調査では現存する聖堂群のうち、本研究にとってとりわけ重要度が高いと思われる場所を中心に見学した。すなわちアンニーバレが《聖ルカの聖母》を描いたレッジョ・エミリア司教座聖堂、《聖マタイの聖母》を描いたサン・プロスペロ聖堂、そして17世紀ボローニャ派の絵画装飾が残るギアーラ聖堂である。このうちサン・プロスペロ聖堂では、フランス人画家ジャン・ブーランジェによる《聖マタイの聖母》の複製画とその設置状況を確認することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

文献精読や現地調査が学会発表や論文といった具体的成果に結びついていないため。

今後の研究の推進方策

前年度に引き続き、関連図書の収集および精読を通じて、フェッラーラやパルマ、レッジョ・エミリアといった周辺諸都市におけるカラッチの活動の体系的理解を試みる。また、夏期あるいは春期休暇を利用して渡航調査を実施する。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は二度の渡航調査を実施したが、初回は当該研究に関わる調査を実施できず、次年度に使用することとしたため。

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公開日: 2024-12-25  

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