研究課題/領域番号 |
21K12897
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
山本 里花 (生野里花) お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (00793960)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 音楽療法士 / COVID-19禍 / 音楽を経験すること / 関係 / 職業アイデンティティ / インタビュー / グラウンデッド・セオリー |
研究実績の概要 |
本研究は、COVID-19禍以降の音楽療法対象者への継続的かつ質の高いサービスの提供と音楽療法の職業的アイデンティティに関する領域内外の対話的議論の活性化を目的とし、療法実践者の経験と洞察に関するインタビュー・データの収集・分析を行っている。 【インタビューデータの分析】前年度までに行った4つのインタビューデータの分析(グランデッドセオリーによるオープンコーディング、上位概念とコアカテゴリーの抽出)について精査し、データ全体のバランスを見ながら調整した。 【研究結果の導き出し】4つのインタビューのカテゴリーを統合し、全体の理論化を進める方向に進んだ。具体的には、4つのインタビューのカテゴリーから約15の共通テーマを見出し、テーマ概念間の関係の特定に着手した。さらにそこから、現時点で全体の二つのコアカテゴリー候補が浮上している。 【発表・著述】The17th World Congress of Music Therapy(2023年7月、バンクーバー)のSpotlight Session “The Future of Research in Music Therapy: Topics & Methodologiesに招聘され、"Exploring a practitioner-centered view of music therapy research"と題した講演に本研究の経過を含めて発表した。同タイトルのProceedingが、Music Therapy Today Vol.18, no.1において出版された。また、日本音楽療法学会第23回学術大会(2023年9月、岐阜)において、オープン・コーディングの詳細な手順と結果に関する口頭発表を行った。またその内容を論文として同学会誌に投稿し、現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析経過を丁寧にリフレクトすることに時間をかけながら、この先の研究の方向性を見定めていた結果、研究を専門・周辺領域コミュニティに開くことが十分には達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、以下を進める予定である。 4つのインタビューのオープン・コーディングの結果の統合を進め、グラウンデッド・セオリーに準ずる形での全体の理論化行う。 それと並行して、国内を中心とした研究対話会を開催する。具体的には、ここまでの研究結果に関し、既存の音楽療法研究会を基盤とするクローズドの研究対話会を2-3回行う。その目的は、より広い対話の問いのリソースになるテーマを抽出することである。続いて9月の日本音楽療法学会第24回大会(札幌)に自主シンポジウムに応募し、採択されれば、より広い参加者の中での公開対話を行う。 加えて、本研究が実験的試みとして重点を置く「研究結果を対話によって領域と環流していくための方策」を探る。具体的には、”Communicating research:Documentation, presentation and representation in academic, practice-based and artistic research”のテーマで開催されるGrieg Research School: Interdisciprinary Music Studies(2024年6月、スタヴァンゲル、ノルウエイ)に参加して、発表とディスカッションに加わり、その成果を本研究に反映させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析内容のリフレクションと、研究の方向性の慎重な検討に集中した結果、対話的議論と共有の実施が先延ばしになった。延長期間となった2024年度はそこに予算を注入する予定である。
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