本研究では、研究題目の通り、鎌倉時代より焼物の生産が続く窯業都市群であり、日本遺産として指定されている“日本六古窯”について調査研究を行っている。 本年度は当初より、昨年度に引き続き文献調査および、各産地の現状に関するウェブ調査を通じて現状把握を行い、実地調査計画を立て、夏季休暇期間を中心にフィールドワークを行った。 今回の調査では、基本的な視点として、コロナ禍における窯業都市の焼物組合を中心とする地域レジリエンスへの取り組みに関してヒアリング調査及びアンケー ト調査を中心に行った。 対象は、それぞれの産地の焼き物産業に関連する各組合組織及び組合員、作家、窯元、焼物美術館、研究所、若手作家グループ...等である。結果、昨年の調査では、丹波篠山では単一の焼物組合が中心となってコロナ禍における諸対策やプロモーション、若手育成までをワンストップで行っているのに対し、常滑では地域的に水平なボトムアップでの乗り越えを計っていたことを明らかにしてきた。 加えて本年度は、これまでの調査によって浮上してきた新たな課題である、コロナ後の『日本六古窯』を中心とする各窯業地域の存続の危機と再生の現状について継続調査を通じて明らかにすることとし、窯業組合が地域の中心となり新たに若手継承や作家誘致を通じて地域レジリエンスを目指す地域をモデル化し比較考察を行った。その結果、コロナ禍の間に窯終いや離陶が急増し、後継者や土そのもの の不足に市場の縮小も手伝って、地場産業としての窯業の存続が次第に危うくなってきたという現状が明らかになった。今回得られた研究成果を、23年9月に行われた日本計画行政学会第46回全国大会(計3本の研究発表)及び、7月の日本グローバル都市経営学会大会...等での研究発及び、24年3月刊行の大和大学社会学部紀要研究論文、同じく龍谷大学LORCジャーナル...等で研究成果を公表した。
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