本研究成果の中心的な成果として、経験的生命倫理学で用いるデータの規範的重要性、とくに科学者等の専門家の意見との相対的な重みづけについて、倫理学と科学技術社会論(STS)の知見を総合しながら体系的に論じたることができた。この試みは類例が少なく、経験的生命倫理学の方法論をめぐる以後の世界的議論の参照点となることが期待される。当該研究は、応用倫理学・生命倫理学分野の国際誌に投稿する予定である。このほか、経験的生命倫理学の理論的背景を探究する過程で、規範倫理学・メタ倫理学など、応用倫理学に限らない幅広い倫理学分野の研究者との共同研究をおこない、以後の研究に向けて綿密な連携・協力関係を築くことができた。
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