研究課題/領域番号 |
21K12912
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
尾崎 名津子 立教大学, 文学部, 准教授 (10770125)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | GHQ/SCAP検閲 / 北海道 / 外地 / 検閲 / 引き揚げ / 地方出版 |
研究実績の概要 |
2023年度は以下のことを行った。 ①北海道立文学館での調査。本研究課題は占領期の単行本出版を、特定の地域の実態や状況と照応しつつ具体的に解明することを目的としている。単行本の出版実態を解明する上では、まずは当時の新聞雑誌メディアを博捜することが有効である。北海道立図書館には占領期の道内で発行されていた文学雑誌や総合雑誌を企図した雑誌の現物が保存され、閲覧可能である。2023年度の調査では、青玄社と交文社の雑誌を対象とし、それぞれの出版社が企図していた事業の内容やその狙いを解明しつつある。その成果は2024年度に複数公表する予定である。 ②国際フォーラムでの発表。第11回東アジアと同時代日本語文学フォーラム・バリ大会(2023年9月1日)にて、口頭発表「占領期における〈北海道文学〉の構想―交文社、青玄社の活動について」を行った。この内容は、本研究の目的の一つである、占領期における地方出版の実態を解明、意味付けることに寄与するものである。 ③海外の大学での発表。高麗大学校グローバル日本研究院の招聘を受け、2024年3月21日に「「引き揚げ」する〈蒙疆文学〉――石塚喜久三「纏足の頃」と占領期北海道の文学出版」と題した発表を行った。この内容は、本研究の目的にある、占領期の地方における出版活動の実態解明に寄与するものである。とりわけ、戦中の〈外地〉における出版活動が、占領期の北海道に与える影響を解明する端緒として、本報告は意義づけられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内での調査は順調に進展しているが、なお一層力を入れて取り組む必要がある。最大の課題は国外での調査である。アメリカ・メリーランド大学で新たに調査すべき事柄は把握しており、調査が急務となっているが、2023年度は渡航の条件が整わなかった。ただし、先方の関係者との連携は円滑であり、問題はない。コロナ以後の先方の様子、特に手続きや所蔵資料の扱いに関する変更点について聞き取りつつ、環境を整えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き各地での調査を着実に遂行する。また、2023年度より成果の公開を開始したが、未だ国外での報告、また、口頭発表にとどまっているため、今後は国内に向けても成果の発信を行い、また、論文や報告書の形で内容をまとめる作業に特に力を入れる。 内容の面では、GHQ/SCAP検閲の実際的な側面の解明に積極的に取り組み、過年度までに積み重ねてきた占領期の地方出版の実態と重ね合わせつつ、本研究課題の総合的な成果を挙げることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外調査に行けなかったこと、また、予定された国内調査の実施回数よりも実際には少なかったことが、次年度使用額が生じた理由である。 使用計画:当該の調査を2024年度に行う。
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