研究課題
前年度に引き続き、日本大学芸術学部(日藝)の卒業生・学生とともに、荒地派の未発表資料の収集・翻刻・研究をおこなった。以下、その研究実績の一端を述べる。・戦後を代表する詩人・中桐雅夫の調査を、中桐の母校・日本大学芸術学部の所沢校舎等で実施し、数々の初期詩篇と論文を入手・翻刻。 ・60年代最大の詩人・菅谷規矩雄が訳したビューヒナー「ダントンの死」の手書き原稿を、関係者から借り受けて翻刻。 ・実存主義哲学者・飯島宗享のスクラップブック二冊を遺族より借り受けて翻刻。 ・中桐・菅谷の文学的エッセンスをまとめ、書評を付す。 ・荒地派についての研究論文と、感性的側面からの解読としての創作の執筆。以上をまとめたものが、『実存文学Ⅱ』(山下洪文監修、2023年2月、未知谷)である。新発見資料の数々に、日藝の卒業生・学生15名による論文・創作等を掲載し、計768頁の大著となった。令和3年度は、飯島宗享の未発表小説「ガラスの家」の原稿を遺族より借り受け、また鈴木喜緑の単行本未収録作を調査し、翻刻した。実地調査を重ね、戦後詩史に新たな頁を刻む発見もした(喜緑の失踪後の動向など)。これらをまとめたものが、『実存文学』(山下洪文監修、2022年2月、未知谷)である。『江古田文学』『日本大学芸術学部芸術研究所紀要』『藝文攷』等にも、論文・作品を発表した。令和4年度は『実存文学Ⅱ』の他、『図書新聞』に実存文学研究会の活動を紹介する文章を、大学紀要等に楠田一郎・鮎川信夫・森川義信らについての論文を発表した。戦後文学の貴重な資料や、その意義を解明する書籍・論文・作品を、研究期間全体を通じて多数発表してきた。本研究は日本文学史の新たな側面を照らし出し、その前進に寄与したものと信じる。※ここに掲載しきれなかった論文一覧や、論文の副題・掲載誌についてはresearchmapをご参照ください。
本研究に関連して、日本大学芸術学部の卒業生・学生を集めて結成した「実存文学研究会」の公式サイトである。中田凱也(令和二年度日本大学芸術学部文芸学科卒業生。現在、日本大学豊山高等学校・中学校講師。実存文学研究会会員)の協力により制作された。前年度に引き続き、研究成果の発表場所として活用した。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
日本大学芸術学部芸術研究所紀要
巻: 120 ページ: 22-36
図書新聞
巻: 3582 ページ: 8-8
実存文学Ⅱ
巻: 2 ページ: 549-758
巻: 2 ページ: 544-548
巻: 2 ページ: 394-400
巻: 2 ページ: 238-266
巻: 2 ページ: 212-237
巻: 2 ページ: 197-204
巻: 2 ページ: 186-196
巻: 2 ページ: 178-183
巻: 2 ページ: 65-86
巻: 2 ページ: 37-64
巻: 2 ページ: 22-36
巻: 2 ページ: 10-21
藝文攷
巻: 28 ページ: 94-110
https://www.jitsuzonbungaku.com