研究課題/領域番号 |
21K12925
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
日置 貴之 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (70733327)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 歌舞伎 / 古典演劇 / 上演台本 / 演出 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、古典演劇である歌舞伎の上演台本の内容の変化の過程および、現代的な演出によるものを含め、歌舞伎を中心とする日本古典演劇の現代における上演について、台本という観点から考察することを目指している。 2021年度は、具体的に、上演台本の内容比較等をおこなうべき演目について検討をおこない、台本の閲覧・複写等をおこなった。現時点では、近代における上演台本の変化が大きく、現在も一定以上の頻度で上演されているという点から、特に義太夫狂言について重点的に検討を行うべきであると考えている。また、いわゆる純歌舞伎の演目では、幕末・明治期に初演された河竹黙阿弥作品を、初演以来上演が続いている作品と、上演史に断絶がある作品とに大別して検討すべく、上演台本の残存状況等の基礎的調査をおこなった。 また、古典演劇の現代的演出による上演に関しても、可能な範囲での上演台本の検討、映像資料等の視聴・収集などを行い、2022年度以降のより詳細な調査・研究に向けての準備を行った。 研究課題に関連する口頭発表としては、「日本赤十字社と演劇・藝能」(藝能史研究会2022年3月例会、2022年3月11日、オンライン開催)、「近世演劇における身分差別観と福地桜痴」(韓国・檀国大学校日本研究所HK+事業団国際学術集会、2022年3月29日、オンライン開催)をおこない、論文としては、「読解と翻訳--木下歌舞伎試論」(後藤隆基編『小劇場演劇とは何か』ひつじ書房、2022年4月7日)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症流行の継続に伴い、遠方での調査、国内外の学会への参加などが制限を受け、研究課題の遂行や他の研究者との情報交換等に困難が生じた面もあったが、オンライン会議等の活用や、首都圏の諸機関における調査等を優先することで、おおむね順調に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、残存する上演台本を基礎資料とした台本の変遷に関する研究、現代的上演における台本の問題に関する研究を進めていく。現代的上演については、実演家への聞き取り等も行う。また、オンライン会議システム等を活用することで、西洋における古典劇上演の際の台本に関する諸問題等について、海外の研究者・実演家などとも情報交換を行うことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行の継続に伴う調査出張等の自粛と学会のオンライン開催により、旅費・資料複写費等の関係予算の使用額が予定を下回ったため。
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