研究課題/領域番号 |
21K12939
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
ノット ジェフリー 国文学研究資料館, 研究部, 助教 (30847794)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 連歌師 / 注釈 / 宗祇 / 源氏物語 / 帚木別注 / 不審抄出 / 長珊聞書 / 室町 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦国期古典学の発展・発達の歴史を、その開花に大に貢献した連歌師による講釈・注釈資料の細密調査を通して浮き彫りにさせ、とくにその中で連歌師の役割がもっとも枢要で、もっとも特徴的だったと見える『源氏物語』の当代研究の変遷を解明することを目的とする。この統一目標のもとで、(1)室町後期からも古典学に甚大な業績を残した連歌師宗祇の弟子と当流の門徒(特に①宗碩と②猪苗代兼載とそれぞれの後継者)が戦国時代を経て各地に展開した講釈・注釈活動の実態や影響を把握、(2)公家や武家から地下まで様々な形で宗祇流をはじめ連歌師の古典学を継承した人々(特に三条西実隆とその家門)による活動内容の解明、また(3)その他に連歌師がかかわったと見える古典学、特に源氏学関連の諸種資料(注釈、聞書、本文、抜書、系図、秘伝書等)をできるだけ網羅的に確認しその情報を集積して分析した上、連歌師が当時の古典学に果たした役割をあきらかにすること、以上三つの具体的な課題を設定した。2021年度に(1)と(2)に重点を置き研究活動を進めた。 (1)については、宗祇流源氏学の解釈方針などがある程度窺える重要な注釈資料、『源氏物語不審抄出』の調査・研究を進め、その成果の一部を学術雑誌の論文で発表した。 (2)については、宗祇の注釈書『帚木別注』の伝本研究等を進める中、その後代における受容の変遷を伝える特徴的な一伝本(早稲田大学図書館伊地知鉄男文庫蔵)を調査し、その大量の増補注記を全文翻刻して、論文で発表した。その他、同注記群と『長珊聞書』(猪苗代家の連歌師長珊による源氏注釈)との相互関係を考察し、近日にその成果を発表する予定。 (3)については、連歌師古典学の流れを汲む後代の注釈活動の研究を進め、特に北村季吟のそれに見える多様化を考察し、その成果を一部2022年度夏季の国際学会で発表することになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の如く、感染症の影響がまだまだ続いている中でも、入手できる資料・前からも入手済みだった資料に基づいて、設定したそれぞれの研究課題にそれなりの成果を発表することができた。一方で、現地調査をやはり思うようには行うことができなかった部分もあり、本年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症による影響は本年度から幾分か緩和されると思われるため、その状況が許す限り、昨年度より幅広く、各地の所蔵先に出向いて、その現存注釈資料等の調査を通じて、中世後期・戦国期における(特に連歌師関連の)古典学の実態を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
特に新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の学会参加・調査計画等を一部断念せざるを得ない状況となった。次年度は予定していた調査等を計画通りに行い、それに合わせて研究計画の遂行に必要と思われる機器・物品をも購入する。
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