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2021 年度 実施状況報告書

日本に伝存する漢字文義謎資料のデータベース化による文化史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K12940
研究機関独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所

研究代表者

呉 修テツ  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, アソシエイトフェロー (10895981)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード文字遊戯
研究実績の概要

本研究は、三年の研究期間において、以下の目的の達成を目指している。①漢字文義謎の越境性を論じること、②用語・分類の再整理によって知見を共有すること、③漢字文義謎に対する注釈的研究を行うことによって、漢字文化史研究の深化を図ることである。
2021年度は、主として①を中心とした研究を進めた。具体的には、日本で出土した墨書土器・習書木簡に見られる漢字遊びの痕跡を、中国の敦煌文献・陶磁器題詩銘文など出土文字資料と照らし合わせ、系譜論的に検討した。研究成果として発表した論文「平城宮跡出土組み合わせ文字の水脈をたどる」(『奈文研論叢』第3号、2022年3月)では、平城宮跡から出土した「我・念・君」「道・金・為」の組み合わせ文字が墨書された土師器を中心に、参考資料を提示しながら、まじない書・長沙窯製品に見られる類例を整理し、この2組の組み合わせ文字にまつわる謎を解くことを試みた。長沙窯製品に見られる文字遊戯の類例と敦煌文献の関係性に触れ、仏教文学がそのような文字遊戯を生み出す沃土であり、それらを漢字文化圏の隅々に運び、開花させた水脈でもあると示唆した。
当初の予定より進捗がやや遅れているが、基本データとなる翻字資料の入力を進めている。渡来漢籍に関しては、中国においてほとんど散逸した「萬寳全書」系統の日用類書から文義謎作品168件を収録し、和刻本からは関連資料2点のデジタル翻刻を行った。和刻本資料については、今後の調査を踏まえたうえで、2022年度中に論文としてまとめる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本来であれば考古学文献・古典籍・現物という三つの方向から、幅広く資料を収集・整理する予定であったが、今般のコロナ禍の影響で、各地方の図書館・博物館などで資料調査を行うことはできなかった。また、水際対策強化に係る措置よって、研究アシスタントとして受け入れる予定の中国人院生が入国できず、データ入力の時間を十分に確保できなかったためである。

今後の研究の推進方策

引き続き、関連文献の調査を行い、研究対象の実態を把握するとともに、出土文字資料・歌集・謎集およびその他一般文学書に見られる実例を抽出し、調査した資料を整備するとともに解読を進めていく。注釈的研究に基づき、各時代における漢字文義謎創作の背景と伝承、さらにその周辺に介在する諸問題について論究し、研究成果の公表を進めていきたい。新型コロナウイルス感染症の情勢が収束し次第、地方への資料調査を実施し、学生アシスタントを追加募集する予定である。

次年度使用額が生じた理由

感染症情勢を鑑みて、当初想定した出張を取りやめた。上記の通り、予定した留学生アシスタントが入国できず、短期の研究補助者は35時間しか作業できなかったため、人件費がほとんど使用せずに残ってしまった。2022年度からは、翻字作業やデータ入力のためのアシスタントを複数募集する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 平城宮跡出土組み合わせ文字の水脈をたどる2022

    • 著者名/発表者名
      呉 修喆
    • 雑誌名

      奈文研論叢

      巻: 3 ページ: 113-132

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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