関連する従来の研究は、主に一部の作品の総評や総批から見られる「李卓吾」の作品に対する見解を分析し、版本もしくは批評者問題を論じることが多いが、「李卓吾批評」の特徴や性質を掴むには、未だ不十分である。 そこで、本研究は特に従来詳しく考察されていない短評を取り入れて細かく比較・分析することによって、これらの作品に高く評価されている内容の特徴、共通点の有無、そして批評者問題を新たな角度から検討した点で意義があると考える。また、研究対象となる作品には現在でも舞台や教科書に登場する名作が多々あるため、本研究はこれらの作品の明代における受容を理解する上で、一側面を提供できたかと考える。
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