研究課題/領域番号 |
21K12948
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
瀧内 陽 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (00846701)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イギリス児童文学 / 移民文学 / 労働者階級文学 |
研究実績の概要 |
本研究は、20世紀イギリス児童文学における人種的多様性と多文化主義の発展の詳細を、特に1970年代の移民作家の貢献と白人労働者階級との関係に注目して明らかにすることを目的としている。2022年度は、昨年度に引き続き、この研究を進めるために必要な背景知識を得るために、イギリスの移民、白人労働者階級、黒人文化等についての文献資料、カリブ系・アジア系作家の作品や伝記、移民・人種的少数者を描いた児童文学作品、それら新しい作品を対比して理解するための英語圏の古典的児童文学作品、等の広範な文献を読み進めていった。 新型コロナウイルス流行の影響により、移民作家についての資料収集が難航するため、まずはイギリス児童文学の人種的多様性に関心をもっていた、あるいは移民作家との関わりが深い、白人労働者階級作家の研究を先に進めている。 特に、1970年代当時、編集者として無名の移民作家のヤングアダルト小説を積極的に出版していた労働者階級出身の作家・批評家・編集者であるエイダン・チェンバーズ(Aidan Chambers, 1934 - )についての研究を進めている。2022年6月、日本比較文学会第84回全国大会のワークショップ「労働者階級文学の現在」で、階級と文学、チェンバーズの作品にみられる文学観について研究報告をした。今後はチェンバーズについての研究およびペトロネッラ・ブレインバーグ(Petronella Breinburg, 1927-2019)についての研究をなるべく早い段階で論文の形にまとめていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロジェクト開始時より常に新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けており、イギリスへの出張見合わせ等の資料調査収集への直接的な影響に加えて、それにより他の研究プロジェクトに遅れが生じたことによる間接的な影響があり、当初の予定より本研究の進捗状況にはやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、2022年度からはブレインバーグの経歴、児童文学作品を出版するに至った経緯等を明らかにするため、国内外の図書館・アーカイブスでの調査を行いブレインバーグに関する資料を集める予定だったが、新型コロナウイルスの影響を受け、これまで国外での資料調査収集は行っていない。そのため、まずは、すでに資料が手元にそろっている、移民作家と関わりの深い白人労働者階級作家の研究を先に進めた。その結果、特にエイダン・チェンバーズについての研究が進んでいるため、なるべく早くこの成果を論文にまとめたい。また、ブレインバーグの小説Us Boys of Westcroft(1975)の分析を進めて英語論文を作成したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画ではイギリスでの調査研究を予定していたが、新型コロナウイルスの流行が続いたため、海外出張を見合わせた。次年度使用額は、2023年度にイギリスでの研究を行う場合はその費用にあて、2023年度もイギリスでの研究を見送る場合は、その代わりに必要になる英語文献の購入費用にあてる。
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