本研究は、アフリカ系アメリカ人による小説を対象として、黒人コミュニティ内部の階級的・ジェンダー的差別に注目する。20世紀のアメリカ黒人文学における階級・ジェンダーの表象の在り方が、どのように変遷したのかを明らかにすることが目的である。 研究対象作品 a) ネラ・ラーセン:Passing (1929) 、b)ドロシー・ウェスト:The Wedding (1995) 、c) ジェームズ・ボールドウィン: Giovanni’s Room (1956) 、d) トニ・モリスン: Love (2003)、e) オクティヴィア・E・バトラー:Kindred (1979) 今年は、上記の c)とd)とe) に取り組んだ。2024年2月に米国渡航が可能となり、Beinecke Rare Book and Manuscript Libraryにおいてボールドウィンに関する資料調査を行うことができた。この成果については、アメリカ文学会関西支部の2024年6月例会で口頭発表を行う予定である。d) については、論文を脱稿した。本論考については、2024年度中に出版予定である(タイトル未定)。さらに、人種とジェンダーをテーマとして取り入れているSF作家オクテイヴィア・E・バトラーの『キンドレッド』を研究対象に加えた。e)の論考は、「オクテイヴィア・E・バトラーの『キンドレッド』における 過去と未来の相補性」として兵庫県立大学環境人間学部研究報告26号(2024年3月)に掲載された。
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