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2022 年度 実施状況報告書

範疇素性共有によるラベル決定アルゴリズムと複合語研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 21K12984
研究機関北海道教育大学

研究代表者

佐藤 亮輔  北海道教育大学, 教育学部, 講師 (60859685)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード複合語 / 複合動詞 / 統語的複合動詞 / 語彙的複合動詞 / 等位接続
研究実績の概要

昨年度までの複合名詞の研究から派生し、本年度は複合動詞の研究を行った。日本語の複合動詞は大きく語彙的複合動詞と統語的複合語動詞に分類されるが、本研究では前者にはV1と項が結合し、その複合体とV2が結合した構造を提案し、後者にはV1とV2が等位接続した構造を提案した。
この構造によるとV2がV1とNPを作用域に取っていることになるが、このことは例えば「雨だけが降り止む」と言った場合、「雪が降った」り「槍が降った」りしたのではなく、「雨が降った」ことが終わったという意味が生じ、「やむ」が「雨が降る」という命題を作用域に取っていることがわかる。この構造が正しければ、V1「降る」がNP「雨」を直接選択していることになる。そのため、「雨が降る」と言えるものの「*雨が始める」と言えないことに見られる、主語がV2ではなくV1の項であるという事実を捉えられる。
また、統語的複合動詞が等位構造を有するという提案は、次の事実から支持される。すなわち、「握りつぶす」や「歩き疲れる」といった語は「握ってつぶす」や「歩いて疲れる」と言い換え可能である。ここで、「て」が等位接続詞の具現形であると考えると、上述の構造が支持される。
さらに、本提案に基づくと、Transitivity Harmony Principleも説明できる。この原理は、他動詞は他動詞と、自動詞は自動詞と結び付くことを要求する原理であるが、統語的複合動詞が等位構造を有しているのであれば、等位接続では2つの等位項は同じ特性を持つ必要があるため、等位接続一般の性質としてこの原理を導くことができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍で、オンライン授業等の準備により、当初想定していたよりも研究に割く時間が減ってしまったことが挙げられる。また、昨年4月に異動し研究環境が変わったことにより、研究を継続するための研究環境の整備に時間が掛かったことも大きい。

今後の研究の推進方策

研究に多少の遅れは生じたが、今年度までに研究発表等を終え、おおむね研究は収束傾向である。来年度は、これまでの研究成果を研究論文としてまとめ、公表していきたい。

次年度使用額が生じた理由

約1万円程度、次年度使用額が生じたが、誤差の範疇であるため、来年度に予定どおり予算執行を行うことで使用できるものと思われる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ラベル決定アルゴリズムと日本語のVV複合語2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤亮輔
    • 雑誌名

      2022年度(第77回)支部大会Proceedings

      巻: - ページ: -

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ラベル決定アルゴリズムと日本語のVV複合語2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤亮輔
    • 学会等名
      日本英文学会東北支部

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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