研究課題/領域番号 |
21K13012
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
久田 行雄 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (60883189)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 平仮名 / 言説史 / 文学史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、平仮名の歴史と女性がどのような文脈の下で結びつけられてきたのかを、近代の資料を対象として明らかにすることである。国語学のみならず、文学史・教育史・書道史などの資料を渉猟しながら、平仮名と女性がどのように論じられてきたのかを包括的な視点から解明する。 2022年度は、文学史を扱った資料を対象として言説の収集、および整理、その把握を中心に行った。文学史の資料を重点的に調査したのは、以下の2点の理由による。まず文学史では中古和文作品とその担い手である女性について触れることが多く、平仮名と女性に関する記述を見ていく上で適していたためである。また、文学史を扱った資料では平仮名成立が文学に与えた影響を指摘することが多く、平仮名の成立がどのように記述されたかを調べる上でも適していたからである。鷹津義彦『文学史の方法論』(桜楓社、1966年)や、近代において文学史がどのように編纂されてきたかを扱った先行研究を参考にしながら、68点の資料を調査した。その結果、以下の点が明らかとなった。 〔1〕文学史を扱った資料においては、平仮名の作者を女性と見なす言説が見られないことが明らかとなった。文学史が編纂され始めた明治20年代から明治30年代までは、平仮名は空海が作ったとする説を踏襲する資料も存在していたが、それ以降の時期においては一人の手に成るものではないとする説が一般化することを明らかにした。 〔2〕平仮名の別称と見なされてきた「女文字」「女手」という用語が使用されていたことに着目し、男性は漢文、女性は仮名という対立構図から文学史を記述する資料が多く見られる。しかし、その中には男性が平仮名を使用することに触れるもののあれば、男性は当時平仮名を全く使用していなかったと見なすものもあり、平仮名と女性の関係についてはそれぞれ異なる立場をとることがあることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度は年間を通して体調が悪く、また通常とは異なる大学業務が入ったこともあり、まとまった研究時間を確保することが困難であったため、研究に遅れが生じた。 くわえて、文献調査を行う上で利用していたウェブサイトが昨年度の12月にリニューアルされたことに伴い、それまで調査してきた内容を再度検討する必要性が生じ、その確認作業を行うために、想定外の時間が必要となり、当初の予定より研究が進まなかった。そのため、当初の予定通りには研究成果をまとめることが不可能となり、成果報告を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は昨年度に比べ大学業務が少ないため、研究時間を確保することが可能であり、研究に充分に取り組むことができる。昨年度の遅れは体調不良によるものであったため、特別に対策を講じる必要はないと考えており、当初の計画を修正しながら調査を行い研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
【現在までの進捗状況】に記したとおり、2022年度は年間を通して体調不良が続いたため、予定していた調査を行うことができず、それに伴い旅費を使用する機会がなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、2022年度に比べて研究に多くの時間をあてることが可能であり、旅費を伴う調査を行えそうである。もっとも、2022年度に行った調査の過程で新たに調べる必要のある資料群を発見したため、それらの資料やその関連分野の先行研究に関する書籍を購入することが見込まれる。
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